革新的な研究開発テーマの創出とその評価方法 創出編 & 評価編 (2日間)

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今、新興国の企業は日本企業の経営や技術を徹底して研究し、それまでリードしてきた日本企業を追い上げ、既に少なからぬ分野で日本企業を凌駕する状況が生まれています。日本企業が、欧米企業はもとより、このようなますます厳しくなる新興国の企業との競争に勝つためには、研究開発においても同じ土俵で研究開発を競うのではなく、競合企業に先んじて革新的なテーマを継続的に創出し取り組むことが極めて重要になってきています。なぜなら、5社が同じテーマに取り組んでいたら、一位になれる確率は平均で20%に過ぎないからです。また、創出したテーマの評価・選定では、多くの企業においてテーマの評価・選択は、担当する研究者の熱意の強さや評価する上司の属人的な思いや価値観で決められていることが多いものです。しかし、このような偏った視点に基づく評価は大変危険です。そこには正しい評価、すなわち革新性に付随する不確実性を前提にしながらも、事業や製品の成功の視点から評価する仕組みが必要です。  本セミナーにおいては、以上の課題を踏まえ、2日間で革新的な研究開発テーマの創出とその評価方法を学んでいただきます。まず1日目の革新的な研究開発テーマの創出については、「体系的な組織的仕組み」をテーマに議論を行います。革新的なテーマを継続的に創出するためには、多くの企業でこれまで行ってきたような、取引先からの依頼への対応や研究者個人に依存したテーマ選択、小手先のアイデア発想法だけでは不十分です。今、革新的テーマを継続的に創出するために求められているのは、そのための体系的な組織的仕組みです。  2日目には、革新的テーマを評価するための「木」 (個別評価法) と「森」 (全体評価体系) の両方学んでいただきます。最初に「木」の議論として、代表的な研究開発テーマの評価法について、いくつかの演習を含め、議論をします。この中には、代表的な財務指標での評価法であるディスカウント・キャッシュフロー法の明確な分かり易い説明を含みます。後半では「森」の議論として、これらの研究開発テーマ評価方法を、ステージゲート・プロセスを中核のフレームワークとして、どう全体の研究開発テーマ 評価体系の中に組み込んでいくかを、それぞれの評価法の特徴とメリット・デメリットを踏まえた上で議論をしていきます。  それぞれのセミナーについては、個別の受講でも内容が十分ご理解いただけるものとしており、個別の受講も可能です。

“1日目 【創出編】研革新的な研究開発テーマを「継続的に多数」創出する方法とその「体系的・組織的」な仕組みの構築”/node/57743

  1. なぜ革新的テーマの創出が必要なのか?
    1. 21世紀の産業界の現実:新興国企業の台頭
    2. 日本企業が行く道:革新的テーマの追求
      • 他社と同じテーマではNo.1になれる確率は低い
    3. 日本企業のテーマ創出上の問題点
      • 品質での差別化戦略の限界
      • テーマ創出の仕組みの軽視
    4. 研究開発テーマ創出の改革の2つの方向性 (テーマ創出への経営資源シフトと体系的仕組みの構築)
  2. 革新的アイデアを継続的に創出するメカニズム
    1. 大きな枠組みの必要性
    2. 革新的テーマの定義
      • 企業にとっての革新的テーマとは
      • 起案者、プロジェクトメンバーにとって面白いテーマとは
      • 両者を一致させる
    3. 3つの原料のスパークによる革新的アイデアの創出
    4. スパークための4つの要件
    5. 具体的体系的取組事例 (東レ等)
  3. 顧客価値の提供機会を見つける視点
    1. ドリルメーカーは顧客に何を売っているのか?
    2. 機能的価値と意味的価値
    3. 顧客はQCDだけに価値を見出す訳ではない:顧客価値拡大モデル (VACES)
      • Value:顧客の製品の提供価値向上 (日本触媒の例)
      • Anxiety:顧客の懸念・面倒の払拭 (日東電工の例)
      • Cost:顧客の全体コストの低減 (東洋電機の例)
      • Empowerment:顧客社員の作業環境・能力の向上 (コマツ・日本ペイントの例)
      • Society:顧客の社会的価値向上 (ESG投資の例)
  4. 革新的テーマ創出に向けてのスパークのための3つの原料
    1. 「市場の知識」の強化
      1. 市場・顧客を多面的に理解する3軸 (TADモデル)
        • 時間軸の一例:ライトハウスカスタマーの利用 (島津製作所の例)
        • 分野軸の一例:顧客の製品ライフサイクル全体に目を向ける (日本テトラパックの例)
        • 深度軸の一例:研究者が市場との直接の接点を持つ (NEC・IBMワトソン研究所の例)
    2. 「技術の知識」の強化
      1. スパークに必要な技術知識 (自社技術・周辺技術の知識蓄積・拡大と自社にない技術の吸収)
      2. 技術知識蓄積・拡大モデル (BIRDSモデル)
        • 発信 (Broadcast) 、収集 (Intake) 、研究開発活動 (R&D) 、共有化 (Share)
        • 具体事例 (3M、村田製作所等)
      3. 自社にない世の中の技術の吸収法
        • なぜ自社にない世の中の技術の吸収なのか?
        • オープンイノベーションの実行
        • 組織的なT型・Π型研究者の実現
    3. 「自社の強み」の利用
      1. スパークモデルにおける自社の強みの重要性
      2. 自社の強みの特徴:自社の強みは見えないもの
      3. 自社の強みのありか
      4. 自社の強みとは
      5. 技術の強み (3Mのプラットフォーム技術、富士フイルムの12のコア技術)
      6. コア技術の3つの選定軸
      7. 技術以外の強みの抽出法:VRIO分析
      8. 強み発想の注意点 (今弱くても将来強くすべき強みを「強み」とする)
      9. コア技術の設定プロセス (参考)
  5. スパークを起こし革新的テーマを創出するための4つの要件
    1. 革新的テーマ創出のための環境の用意
      1. 業務の緊急度と重要度マトリクスからの示唆 (日立の元会長の川村氏の言葉)
      2. 革新的テーマとはの明確化と共有
      3. スラックリソースの提供 (3M、グーグル、東レ等)
      4. テーマ創出のための時間を設定・強制
      5. 筋の悪いテーマを冷静に中止する
      6. 定期的アイデア創出ノルマを課す (小林製薬等)
      7. アイデア発表会の開催
      8. 研究者による社会との共感の実現 (ユーグレナ、エーザイ等)
    2. 多様性の追求
      1. なぜ多様性が重要なのか? (3Mの例)
      2. 日本企業の現状:発想思考の弱さ (サム・スターン)
      3. 多様性の3つの視点 (SMPモデル)
        • 情報・アイデア源を多様化 (Sources)
        • 発想メンバーを多様化 (Members)
        • 一人一人の発想を多様化 (Perspectives)
      4. 具体的事例 (富士フイルム、日本GE、日立、ホールマーク、サムスンの例等)
    3. テーマ創出に向けてのプロセス:テーマ創出に向けての6つのタスク
      1. 市場知識と技術知識をスパークさせる工夫
      2. 一つの技術を複数の機能に展開する方法
      3. 発散と収束を繰り返す
      4. VACESで市場を見る視野を徹底して広くする
      5. 効果的なブレーンストーミング法 (連想を引き出す)
      6. 強制発想法
      7. 情報が無い中で評価する有効な方法
    4. 組織・構成員の意欲による『点火』
      1. 『点火』の必要性
      2. 『点火』とは
      3. 『点火』の3つの要件
        • 追い込む (ホンダ、3Mの例)
        • 失敗の許容・奨励 (日東電工、米国海兵隊、ゼロ戦の成功例)
        • 非金銭的報酬を与える (3Mの例)
  6. 最後に

“2日目【評価編】 革新的な研究開発テーマを「正しく定量的に」評価・選定する個別評価法と評価システム・全体体系の構築”/node/57744

  1. 日本企業の研究開発テーマの適性の見極めのマネジメントの3つの代表的問題
    1. 評価者の属人的な評価尺度 (化学会社の例)
    2. 研究者の熱意を過度に重視する (無線機器メーカー・食品メーカーの例)
      • 研究開発テーマも“Garbage in, garbage out”
      • 背後にある日本人の特徴
    3. 不確実性を軽視した評価 (オフィス機器メーカーの例)
  2. 『木』の議論:様々な研究開発テーマ評価法:具体的内容、特徴、良い点・悪い点
    1. 直感法 (スティーブ・ジョブズ、井深大、シャープの例) <非財務法>
      • 直観法とは?
      • 直観法の是非
    2. 対話法 (化学会社の例)
    3. スコア法
      1. BMO (Bruce Merrifield & Ohe) 法
      2. リスク – リターン法
      3. STAR (Strategic Technology Assessment Review) 法
      4. 演習1:スコア法演習 (「AテーマーBテーマ、どちらのテーマを選ぶべきか?」)
      5. スコア法のメリットとデメリット
    4. ディスカウント・キャッシュフロー法 <財務法>
      1. NPV (正味現在価値)
      2. IRR (内部収益率)
      3. 演習1〜5 (NPV・IRRの算定と意思決定)
      4. ディスカウント・キャッシュフロー法の主要な課題
      5. ディスカウント・キャッシュフロー法を使う上での注意点
    5. 回収期間法
    6. ECV (期待経済価値) 法 (演習6)
  3. 『森』の議論 (1) :良い研究開発テーマ評価システムの要件
    1. 個別の研究開発テーマ評価法の限界:「一つの評価法では、正しい評価はできない!」
    2. 研究開発テーマ評価の基本フレームワーク:不確実性・複雑性を所与とした評価システム
    3. 良い研究開発テーマ評価システムの要件
      1. 不確実性・複雑性に対処しながらも分かり易い評価体系
      2. 評価者・担当者の間で納得感・信頼感がある
      3. 事業・製品で成功するための重要なポイントをきっちりおさえている
      4. 革新的なテーマを正しく判断し意思決定ができる:多数決は機能しない
  4. 『森』の議論 (2) :全体評価体系としてのステージゲート・プロセス
    1. ステージゲート・プロセスとは?
      1. 良い研究開発テーマ評価システムの要件に対処したプロセス
      2. ステージゲート・プロセスは方法論ではない
      3. 皆さんの会社のプロセスを含め、全てのプロセスは、そもそもゲートとステージのあるプロセスになっている!
      4. ステージゲート・プロセスの背景と歴史
      5. 革新的な製品・事業・技術創出には:不確実性への対処
    2. ステージゲート・プロセスの11の工夫
    3. ゲートでの評価体系・評価項目例
    4. ゲートでの正しい意思決定法
    5. ステージゲート・プロセスと各研究開発テーマ評価法との関係
  5. 最後に

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