ニトロソアミン類の変異原性評価と分析法の開発

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第1部 三極 (日米欧) におけるニトロソアミン規制の比較と現在の状況について

(2024年2月20日 10:30〜11:30)

 数年前より国内外でサルタン系医薬品、ラニチジン、ニザチジン及びメトホルミン等から発がん性物質ニトロソアミン類が検出され、一部の製品が自主回収されている。医薬品へのニトロソアミン類混入の原因は合成過程での生成、共用設備からの交叉汚染、回収溶媒や試薬中への混入、包装資材からの混入、保存時の生成等といわれている。これまでニトロソアミン類が検出された医薬品以外の医薬品でもニトロソアミン類の混入の可能性は否定できない。医薬品へのニトロソアミン類の混入は患者等への健康リスクを生じさせる懸念があり、その混入リスクを可能な限り低減することが重要である。  本セミナーでは日米欧三極におけるニトロソアミン類規制の比較と現在の状況について、演者の専門領域であるHazardを中心に述べる。

  1. 日米欧三極におけるニトロソアミン類規制の概要
    • 欧州におけるニトロソアミン類規制内容
    • 米国におけるニトロソアミン類規制内容
    • 日本におけるニトロソアミン類規制内容
  2. ニトロソアミン類の評価と管理の方法
  3. ニトロソアミン類の最新情報

第2部 ICH M7ガイドラインに則った変異原性評価及びニトロソアミン類不純物のリスク評価

(2024年2月20日 12:30〜13:50)

 ICH M7ガイドラインは、医薬品に含まれるDNA反応性 (変異原性) 不純物の評価及び管理の指針である。ICH M7の対象となる不純物は,変異原性物質のみとされ,それら不純物の変異原性評価には、構造活性相関 (QSAR) の利用が認められている。ICH M7においてN-ニトロソジメチルアミンなどの強い変異原性発がん性を示すニトロソ化合物は、Cohort of Concernとして,適切なリスク軽減措置を講じる必要がある。最近、規制当局よりニトロソアミン類の変異原性及び発がん性リスクについて新しい評価方法が提示されている。  本セミナーでは、医薬品不純物におけるQSARを活用した変異原性評価の課題や現状について解説するとともに、ニトロソアミン類不純物の変異原性および発がん性リスク評価方法の現状について述べる。

  1. ICH M7ガイドラインに則った医薬品不純物における変異原性評価
    1. ICH M7ガイドラインの概要
    2. ICH M7ガイドラインに則った評価フロー
    3. QSAR評価のエキスパートジャッジメント
    4. 市販QSARソフトを用いた変異原性予測評価とその課題
  2. ニトロソアミン類不純物の変異原性リスク評価
    1. ニトロソアミン類不純物の混入問題の概要
    2. ニトロソアミンの変異原性・発がん性とその機序
    3. 医薬品におけるニトロソアミン不純物評価の動向
    4. QSAR/リードアクロス法を用いたニトロソアミン類の許容摂取量設定

第3部 大気中の窒素酸化物との反応によるニトロソジメチルアミンの生成メカニズムの解明

(2024年2月20日 14:05〜15:05)

 大気中の窒素酸化物、特に二酸化窒素と亜硝酸ガスの濃度、濃度変化、生成、消滅などについて、一般的な話とこれまで取り組んできた研究について説明する。亜硝酸ガスは二酸化窒素よりも水に溶けやすく、水中の亜硝酸は水の蒸発や凍結によりさまざまな反応に関与する。アンモニアやアミン、アミノ酸と反応し、窒素やニトロソアミン、シアン化物イオンを生成することもある。  これらの説明の後、今回、共同研究で明らかとなった、気体の窒素酸化物と固体が直接反応しニトロソジメチルアミンを生成する研究結果について説明する。

  1. 大気中窒素酸化物
    1. 発生と消失
    2. 濃度と1日の濃度変動
    3. 二酸化窒素と亜硝酸の測定方法
    4. 二酸化窒素と亜硝酸の「類似点」と「相違点」
    5. 環境中における反応
  2. 亜硝酸とアミン類の反応
    1. 亜硝酸とアンモニアの反応
    2. 亜硝酸とアミンやアミノ酸の反応
  3. 二酸化窒素とアミノ酸の反応によるニトロソジメチルアミンの生成
    1. 大阪と山形におけるメトホルミン医薬品へのニトロソジメチルアミン含有量の違い
    2. 大阪における製薬反応器へ導入される窒素酸化物濃度測定
    3. メトホルミン医薬品へのニトロソジメチルアミン含有量と大気中二酸化窒素濃度の季節変動
    4. メトホルミン製造モデル実験における二酸化窒素混入によるニトロソジメチルアミンの生成

第4部 APIおよび医薬品中のニトロソアミン類分析

(2024年2月20日 15:20〜16:30)

 ニトロソアミンの発生原因は多岐にわたり、原薬の合成や製剤化、反応溶液の失活等の製造過程のみならず、封入容器からの混入や保管中の生成、分析用前処理での混入などあらゆるプロセスが考えられています。また、基準値に合わせた高感度な検出系の構築も不可欠です。  今回は、測定対象や材料に合わせた試料調製法から分析・解析まで、包括的なニトロソアミン類分析についてご紹介いたします。

  1. 不純物の分類、ICH ガイドライン、分析手法
    • 医薬品中不純物としてのニトロソアミンの分類と、推奨される測定法、発生源について紹介します。
  2. ニトロソアミン類に対する国内・海外の規制動向
    • これまでに公布されたニトロソアミン類に関する国内、海外の規制について時系列に沿ってお話しし、そこで用いられている手法のメリットとデメリットについて紹介します。
  3. 規制基準値への対応
    • 医薬品医療機器総合機構から交付された、国内における規制対象ニトロソアミン類とその分析方法についてお話しし、具体的な試料調製法や注意点、分析手法の選定法について紹介します。

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