感性工学は、広島大学工学部の長町三生教授により1970年代初頭に始められました。以来、心理学測定法と多変量解析、80年代半ばからはAIの手法も多数取り入れてきました。80年代からのAIの使用については2通りあり、一つは多変量解析の結果の、膨大な数値データをデザイン・設計実務でわかりやすく使用するための、グラフィックも兼ね備えたエキスパートシステムとして、もう一つは、多変量解析の限界を超えた分析を行うために、今で言う統計的学習理論、機械学習の中でも統計数理を重視する手法でした。その結果、少ないサンプル数や、説明変数間の強い相関などの問題を解消、形を統計量として扱うなどが可能になりました。2020年代からの生成AIをはじめとした手法の応用により、意味の世界まで踏み込んだ文章解析、分析結果にもとづいたサンプル画像の生成によるデザインプロセスのスピード化などが可能になりました。
この講座では、感性工学の手法の初歩を終えられた方むけに、感性工学の応用実践編として、上記のようなAI応用を中心に解説します。
- 感性工学の測定分析 基礎手法概観
- SD法と尺度論、統計分布
- 主成分分析 (多次元の感性構造を抽出)
- クラスター分析 (代表的なサンプルのグループを形成、共通要素を発見する)
- 回帰分析系 (細かい設計要因と感性との間の関係を推定する)
- 古典的AIの応用:感性工学エキスパートシステムとデザインプロセスの変革
- エキスパートシステムとは
- 感性工学エキスパートシステムの実例
- 簡単な感性工学エキスパートシステムの作り方
- 感性工学エキスパートシステムによるデザインプロセス
- 統計的学習理論の応用
- 少数サンプル問題への対応:Partial Least Squares、 PLS回帰分析
- 自己組織化ニューラルネットワークによる階層化クラスター分析の安定化:arboART
- 形を統計量として扱う – 洗練された形状には、アールは何ミリにすれば?
- お互いに高度に相関がある説明変数の場合:Random Forestによる回帰木
- 生成AIによる分析
- 意味の世界まで踏み込んだ文章解析:BERT、LLMによる意味解析
- 感性工学分析結果から、生成AIによるデザインバリエーションの自動生成方法
(なるべく、Google Colaboratoryで試せるように準備中です)
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