本セミナーでは、タグチメソッドで推奨される動特性のSN 比を用いたL18 実験モデルをPythonを利用してプログラミングし、要因効果図の作成までを目標といたします。
タグチメソッドは難しい、と誤解されている。故田口玄一先生が日本で自ら普及の先頭に立たれたのは30年程前であるが、今でも開発現場で定着していない企業もある。電子写真業界では、1990年代からタグチメソッドを積極的に導入し成果を出してきた。この業界で早くからタグチメソッドが導入された背景は、製品の機能に帯電現象が利用されており、それが科学で未解明だからである。この現象を機能に応用した製品の開発がタグチメソッドの導入で円滑に進み、ロバストの高い商品を市場に提供できるようになった。ところで、多くのタグチメソッドのセミナーでは、それが統計手法とは異なるゆえに哲学から解説している。しかし、開発対象 (オブジェクト) のふるまいが基本機能の品質で左右される点に着目し、そのロバストを高める制御因子の水準について設計するプロセスがタグチメソッドのモデルと理解できれば、そのアルゴリズムでプログラミングは容易にできる。そしてそのモデル化されたタグチメソッドについて記述されたプログラムを学べば、タグチメソッドの解析プロセスを理解できる。また、統計手法と異なるタグチメソッドの哲学については、SN 比の計算と実験計画法と異なる直交表の使い方について、アルゴリズムから学び取ることができる。 本セミナーでは、タグチメソッドで推奨される動特性のSN 比を用いたL18 実験モデルをプログラミングし、要因効果図の作成までを目標とするが、タグチメソッドの全体像とPython の概略も解説するので、両者の知識が無くても理解できる。ただし、Python が初めての受講者は受講前にパソコンへPython の環境を構築する必要がある。その方法の解説をセミナーテキストの巻末に掲載しているので、それを活用して環境構築し、test プログラムでその動作を受講前に確認していただく。タグチメソッドを基本機能と制御因子の組み合わせによるモデルベース開発 (MBD) 手法と捉えると、動特性のSN 比を用いるモデルと静特性のSN 比を用いるモデルに分かれる。今回はタグチメソッドの哲学を理解しやすい動特性のモデルで解説するが、静特性のモデルについてはSN比計算プログラムを配布してその利用方法をセミナーで説明する。また、Pythonの文法説明ではタグチメソッド実験解析プログラムコードを用いるので、タグチメソッド実験の解析をプログラムコードで理解できる。
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