心地よさの計測、数値化と製品開発への応用

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本セミナーでは、ヒトが高級感を感じるメカニズムについて基礎から解説し、官能評価・機器測定のポイント、データの読み方、解釈の仕方について詳解いたします。

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プログラム

第1部 顔の画像処理・表情解析と快・不快評価

(2023年12月21日 10:00〜12:00)

 「心地よさ」のような生活の質に関する評価尺度が重視されるようになったのはつい最近のことではないだろうか。医学分野で言えば、皮膚表面など生活の質を左右する部分は、形成外科医の努力によって保険診療が増えてきたが、美容外科の多くは未だ自己負担である。工学分野で言えば、本講演が存在するのもそれを象徴するように、いくつもの専門領域にまたがる難問として扱われてきており、ごく少数の研究者の個々の取り組みに終始している。  本講演では、心の動きを比較的正直に伝えるメディアとして注目されている顔に関して、これまでの研究の概要や歴史を述べ、顔の画像解析の方法、さらにはオートエンコーダーといった近年導入された技術を応用することによる顔画像技術の新たな展開を俯瞰する。

  1. 顔研究の歴史と研究動向
    1. 顔の研究とは
    2. 顔の画像 (カメラ画像,断層画像,赤外線画像)
    3. 顔の情報
    4. 顔画像データベース
  2. 顔の表情解析
    1. FACS
    2. 表情の画像解析
    3. 顔画像への統計モデルの応用
    4. 生成ディープラーニング
    5. 応用事例集
  3. 社会課題に対する顔の画像解析技術の応用
    1. 自動車ドライバーの表情に関する画像技術
      1. 自動車内の画像環境
      2. 感情と表情
      3. 自動車ドライバーの気分検出アルゴリズム
    2. 健康に関する表情画像技術
      1. 表情筋運動の観測
      2. 生理状態に関するもの
      3. 心理状態に関するもの
    3. その他の応用事例

第2部 “何となく“の心地よさの測定と製品開発

(2023年12月21日 12:45〜14:45)

 「心地よいですか」と聞かれて「はい」とは答えられますが、本当にどの程度心地よいかは、定かではありません。評価データ上はそれなりの値を得ることができます。しかし、おそらく、本人もはっきりしていないところがあると思います。このように“何となく“感じている気持ちの問題を、どのような考えと手法でデータ化していけばよいのでしょうか。さらに、品質を特定してものづくりに、どう繋げていけばよいのでしょうか。もちろん、リピートしていただける製品開発を考える必要もあります。  本セミナーでは、飲料や化粧品などの事例を踏まえて、“何となく“の心地よさの見える化と設計品質化についての手順を紹介するとともに、今後の製品開発の方向性を考えたいと思います。

  1. 評価の階層性
    1. 心地よさの下位表現
    2. 品質要素との紐付け
  2. “何となく“の見える化
    1. 意識の階層構造
    2. 無意識と生理指標
    3. 生理測定のストリー化
    4. ペアーインタビューの可能性
      1. ハンバーグのおいしさ解析
      2. 飲料の特徴解析
  3. 生理指標による“何となく“の心地よさの評価
    1. 心電計測と脳波計測の組合せ解析
    2. 化粧行動の心地よさ
  4. 心地よさをもたらす品質要素
    1. グラフィカルモデリングによる乳酸飲料の開発
    2. 生理指標によるシャンプー・リンスの改善
    3. 生理指標による洗顔石鹸の心地よさの設計品質化
  5. 心地よさによる消費者行動の変化
    1. 心地よさ・習慣化・リピートの連鎖へ
    2. 製品への『期待』の役割
  6. 最後に
    • “何となく“の見える化と設計品質化

第3部 快適性・個人差の考え方とデータ紹介

- 自然セラピーにおける生理的リラックス効果を例として -

(2023年12月21日 15:00〜17:00)

 現代のストレス社会を背景として、「快適性」が大きなテーマとなり、それに伴って「個人差」に注目が集まっている。「快適性」には、種類があり、温熱を中心とした「受動的快適性」と五感を介した「能動的快適性」に分かれる。1990年位までの「快適性」は「受動的快適性」であり、温熱研究であるため「個人差」は極めて小さいという特徴があった。一方、1990年以降、社会の欲求は五感を介する「能動的快適性」にシフトし、それに伴って「個人差」がクローズアップされてきた。「個人差」は「バラツキ」や「誤差」ではなく「実体」であるが、サイエンス分野におけるエビデンスは提出されていない。  本講演においては、「自然セラピーにおける生理的リラックス効果」に関する室内実験ならびにフィールド実験データを使って、「初期値の法則」と「パーソナリティ」の観点から「個人差」へのアプローチを行い、個人差解明に関する具体的なデータを紹介する。

  1. 現代人とストレス
  2. 快適性・個人差の捉え方
    1. 快適性の考え方
    2. 個人差の考え方
  3. ストレス・リラックス状態評価法
    1. 脳活動、自律神経活動、コルチゾール等を指標として
  4. 生理的評価実験例
    1. 室内実験
    2. フィールド実験
  5. 生理応答と主観評価の対応
  6. 個人差へのアプローチ
    1. 「初期値の法則」から
    2. 「パーソナリティ」から

第4部 脳波による心地よさの計測・評価と製品開発への活用

(2023年12月22日 10:00〜12:00)

 感性や感情は心理事象であり、心地よさなどの心理変数を生理的指標から評価しようとする分野のことを心理生理学と言います。脳波などの生理指標との対応関係は古くから研究されています。実際のところ、計測しても分かることに制限がありますが、実験心理学的な手法を組み合わせることで評価の範囲が広がります。  本講義では、心地よさに代表される感性や感情についての心理学な解説、脳波を中心とした生理指標の記録と分析、そして、最後に感情等の心理状態に対する脳波を用いた生理心理学的アプローチについて紹介します。

  1. はじめに
    1. 生理心理学
    2. 心地よさ
    3. 感性や感情の心理学
    4. 計測のフレームワーク
  2. 生理指標
    1. 脳波の記録と分析
    2. 自発脳波
    3. 事象関連電位
    4. 心電図など自律神経系活動を併用する場合
  3. 心地よさ評価の実際
  4. まとめ

第5部 感性工学による快・不快の定量評価と心地良い製品開発への応用用

(2023年12月22日 12:45〜14:45)

 就業中に座る椅子、毎日履いている革靴。この椅子は座りやすい、この靴は履きやすい、など様々なことを感じておられると思います。この感性は、製品とのやりとりによって生じますが、主観的で曖昧です。そこで、この感性に対して工学的手法でアプローチし、客観的に評価しようとするのが感性工学です。生理計測、心理計測、行動観察、さらには、コンピュータシミュレーションを用い、これらのデータと製品の特性との関係を検討して、心地良さなどを向上させる設計パラメータを探り出せば、消費者の心の琴線に触れるような製品を創ることも可能となります。  本講演では、感性工学の概要、感性計測と感性評価、歩く・座る・寝るといった日常的な基本動作に関する研究事例について紹介します。

  1. 感性工学の概要
    1. 感性について
    2. 感性工学について
    3. 感性計測・評価について
  2. 寝具の寝心地に関する研究と商品開発事例
    1. ベッドマットレスの寝心地
    2. 4D寝姿勢計測装置を用いた寝心地評価と寝具開発
  3. 座席シートの座り心地に関する研究と商品開発事例
    1. 自動車の座席シートの座り心地
    2. 鉄道車両の座席シートの座り心地
    3. 4D臀部形状計測装置を用いた座り心地評価と座面開発
  4. 歩行解析と商品開発事例
    1. 服装が歩き方に及ぼす影響
    2. 労働者用インソールの開発

第6部 触知覚による快適な製品開発と快適性 (心地) の評価方法

(2023年12月22日 15:00〜17:00)

 触知覚によって得られる快適性、心地よさは高次な感覚である。そのため、心地よさを理解し、心地よい製品を作り出すためには、単に物性との相関を調べるのみではなく、快適性と低次感覚との関係づけや、関係する低次感覚のメカニズムを明らかにすることが必要である。  本講演では、まず触感を特徴づける物理モデルの構築方法について説明し、次に、触感の快不快の物理的メカニズムの理解のための手法を紹介する。最後に、触感の解析を製品設計に生かした具体的事例をもとに、官能評価、機器測定の手法、および得られたデータの統計学的手法や機械学習による解析手法について説明する。

  1. 触感の物理現象とは?
    1. 五感における皮膚感覚の重要性と特異性
    2. 触感の物理モデルの考え方
    3. 物理モデルと材料の微構造との関係づけ
  2. 背後の物理現象を理解するための官能評価データの解析
    1. 物理現象を意識した触感の官能評価
    2. 官能評価の多変量解析とその解釈
    3. 変量解析の落とし穴とその解決方法
    4. 機器測定と官能評価との関係づけ
  3. 触感の物理モデルに基づく製品の快適性設計
    1. 材料設計の具体例 (繊維製品や化粧品の実例を中心に)
    2. 触感設計の妥当性の評価
    3. 類似した感覚の見分け方
    4. 触感の快・不快の特徴の解析
    5. 機械学習,統計学的手法を用いた触感の解析と製品への応用

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