検証的な非臨床試験を実施するにあたっては統計的側面からも試験デザインと例数設計を十分検討する必要がある。勘と経験のみに頼って検証試験を計画するのではなく、予備試験の結果を十分に活用し、動物倫理面にも配慮して期待する結果が得られる動物数を設計することが望ましい。最近は申請に使用する試験のみではなく、薬理系雑誌への論文投稿に際しても統計的な配慮が求められるようになってきた。
例数設計は様々な統計の教科書で取り上げられているが、統計知識をある程度有する研究員でないと教科書を読み解き実際に例数設計を行うことは難しいと思われ、統計専門家の助言を日常的に得ることが難しい施設では難易度が高い。
本講座では主として薬効薬理試験を題材として取り上げ、仮想の予備試験データを用いて例数設計の計算の具体例を実際に示す。また、試験計画書と試験報告書の作成および論文投稿に際して統計的に留意すべきポイントもあわせて解説する。
- はじめに
- 探索試験と検証試験
- 検証試験における試験計画書の重要性
- 検証試験計画書における検定手法決定樹の記載回避
- 試験のデザインにおける統計的留意点
- 変動因子の例
- 変動因子の考慮の重要性
- Fisherの三原則
- 割付け (群分け)
- 非臨床試験に適した多重比較法
- 多重比較の必要性
- 多重性の問題を避ける方法
- Williams多重比較および固定順検定活用の提案
- 例数設計とその実際
- 仮説検定におけるαエラーとβエラーの問題
- 例数設計の重要性
- 予備試験データの計画書作成への活用の実際
- Excelを用いた簡易的な例数設計の実際
- 統計ソフトウェアを用いた例数設計の実際
- 製薬協の成果物の紹介
- 試験計画書作成に関する統計的留意事項
- 試験報告書作成に関する統計的留意事項
- 各種薬理系雑誌の統計ガイダンスの紹介
- British Journal of Pharmacology誌
- Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics誌
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