粉・粒を扱うプロセスは、多くの分野でその中間行程の形態プロセスとして使われているが、最終ユーザーが目に見るケースは少ない。機能性材料を創製する手段として、極めて有効な粉・粒の形態も、液体や気体と異なって、その莫大な表面積の大きさから、「詰まる・くっつく」等の、独特のトラブルが発生する。
意外に知られていないが、その「粉体」の扱いを適正に処理することが、専門業界としては「粉体プロセス技術」として確立している。特に新しい機能性材料を創製する業務を遂行するには、必ず知っておかなければならない、基礎的な技術である。
本講演では、【透明な粉体挙動スケルトンモデル®】を駆使して、機器内での「粉体の動き」を目で見える形にし、「体感」として粉体の動きが「刻々と変化してゆく様」を把握する。
講師の実務体験から、簡単なスケールアップの実例を挙げ、計算式の意味するところ、さらに、優先的に効果のあるパラメーターを実感する講義を行う。講師は、技術士としての指導経験から「たまたま選ぶ装置での成果」ではなく、最終製品付与機能に見合った、「適正な単位操作の選択と製品物性の関係」を明確にして、最短距離で成果を出す手法を、推薦する。
1日目
- はじめに、粉体技術を俯瞰する。
- 粉・粒に関わる単位操作全体を、俯瞰し、その影響を再確認する。
- 業界で扱われている粉体技術の影響、機能性粒子の活躍の状態を紹介する。
- なぜ、粉を扱うプロセスにトラブルが多いのか?
- 粉粒の「形状による分離現象」はなぜ発生し、それらの原因の分類は?
- コストを抑えたトラブル対策は、 どのような方法で構築するのか?
- IoTの手法が発展することによって 粉体プロセスはどうなってゆくのか?
- 乾燥操作: 湿った粉体は (微粒子固体と液体・気体の) 混相流体である
- 乾燥操作の基本
- 乾燥原理の分類 〜物性による適性乾燥原理の選定〜
- 乾燥カーブと主たるパラメーター 〜スケールアップには乾燥曲線が必須〜
- 乾燥装置の分類 〜どの原理を利用した装置か理解する〜
- 乾燥装置選定の考え方。
- 乾燥操作の実際
- スケールアップ;直接乾燥分野
- スケールアップ;間接乾燥分野
- その他の乾燥分野 〜スケルトンモデルでの体験:
- 流動層乾燥機
- 気流乾燥機
- 充填層乾燥機
- 振動流動層乾燥機など
2日目
- 粉砕操作
- 粉砕操作の基本
- 粉砕原理の分類 〜新しい粉砕装置の出現〜
- 粉砕機のパラメーター
- 粉砕装置の分類
- 粉砕装置選定の考え方
- 粉砕操作の実際 〜粉砕式の歴史的経緯〜
- 回分式粉砕分野 〜スケルトンモデルでの体験
- 連続式粉砕分野
- その他の粉砕分野
- 混合操作・造粒操作: 生成粒子の機能によって、造粒原理を選択する。
- 造粒操作の基本
- 混合操作・造粒原理の分類
- 造粒終点と 主たるパラメーター優先順位
- 造粒装置の分類 〜スケルトンモデル
- 造粒装置の選定 (球形化装置)
- ダマにならず溶けやすい粒の造粒。硬くしっかりした粒の造粒は?
- 目的部位で分散し、粒子機能を発揮するための柔らかい造粒は?
- 機能性粒子の創成。表面改質、複合化。
- 造粒操作のスケールアップ。回分から連続操作。
- 造粒とバインダー
- 歩留まり向上と整粒
- 造粒操作をシステムとして考える
- 粉体機器のトラブル対応
- トラブルの原因、 (複雑な事象ほど、シンプルに分解する)
- トラブルの分類、実際の例を挙げて一緒に考える。
- トラブル解決例、答えは一つでは無いが、実例を紹介する。
- トラブルを予測し対策、エスケープルートの考え方。
- IT化にともなうトラブルの新しい可能性。
- まとめ (ケミスト+データー・サイエンティスト+プロセス・エンジニア)
- これから求められる「粒子挙動の見える化」。 数値シミュレーションの役割。
- 体験したことを分類して応用が利くようにする為には?
- この分野で、技術者が学べること。失敗から学ぶこと。
- 粉・粒を扱う技術に求められるもの 〜IoT, AI, VR, AVの応用の始まり〜
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