日本は、2020年6月にPL制度を導入したが、厚労省は早くも本年内にPL改正を告示し、2025年6月施行予定である。現行の4つのPLは、重複物質や類似物質名が多いために統廃合し、PLは2つに統合され収載物質も約4割減ることになった。一方、モノマーのコード化は、日本だけのルールであり、懸案の溶出試験条件改正や紙の基準化等の検討は手付かずのままである。又、プラスチック資源循環促進法は2022年4月に施行されたが、厚労省の再生プラスチックの部会審議は結論が不明瞭なままであり、企業は自社責任で工業化を進めている。国連は、プラスチック汚染防止条約の審議に入り、日本は苦しい立場になりそうである。
EU規則は、プラスチックが略完成し、今や世界標準になったと言える。米国は独自の製品登録制度が定着し、中国はEU類似の国家標準整備を進行中である。ASEANは、EU類似規則への転換を表明し、近い将来アジアはEU規則に染まりそうである。
本講では、日本及び世界のPLを主体とした法規制の最新動向と展望、有機フッ素化合物 (PFSA) 問題等のトピックス、及び企業の実務対応のポイントに関し解説する。
- 初めに – 包装を取り巻く環境 -
- 日本の食品包装の法規制類
- 食品包装材料の種類と使用割合
- 食品衛生法
- 業界自主基準
- 欧州連合 (EU) の規制
- 食品接触物質とプラスチックの規制、モノマーと添加剤のPL
- スイスの印刷インキのPLとEUの審議状況
- 欧州化学品庁のビスフェノールA使用禁止案、フランスの鉱油使用禁止規制
- 米国の規制
- 連邦規則集と食品接触物質、物質名と製品名の2つのPL
- 紙と接着剤のPL
- 日欧米の現状比較と日本の課題、及び食品衛生法改正の進捗状況
- 厚労省の8つの課題とその進捗状況
- PL制度化の進捗状況と改編案
- 規制対象と4つのPL、PL改正案と施行予定、経過措置期間、PL適合伝達方法
- 印刷インキ業界の証明事例、海外メーカーの文書による適合証明例
- 現時点における制度上の課題
- 厚労省の再生プラスチックの部会審議と業界の工業会状況、米国の状況
- その他の国の最新動向
- カナダ、中国、韓国、台湾、ASEAN、インド、インドネシア、ベトナム、タイ等
- オセアニア、湾岸諸国、南米南部諸国等
- 食品包装規制の最新動向のまとめと展望
- 包装材料に含まれる化学物質と企業におけるリスク管理
- 国連環境計画 (UNEP) におけるプラスチック汚染防止条約審議状況
- 有機フッ素化合物 (PFAS) 規制問題
- 法規制情報の入手方法と情報源
- まとめ – 実務対応のポイント -
- 参考文献と情報入手先
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