第1部 ポリプロピレン系複合材料における無水マレイン酸変性PPの機能と役割
(2023年12月12日 10:30〜12:00)
ポリプロピレン(PP)系複合材料設計において「相溶化剤」は必須添加剤であり、一般に無水マレイン酸変性PP(MAPP)が使用されている。MAPPは“たかが“添加剤ではあるが、分子量/グラフト量バランス、ベース樹脂等の違いにより、複合材料の機械的物性に大きな影響を与える。昨今、活発に研究開発が進められているセルロースナノファイバー(CNF)やミクロフィブリル化セルロース(MFC)とPPの複合化においてもCNF、MFCの分散性向上や界面結合形成等の重要な役割を担っている。
本講演では、無水マレイン酸変性PPの相溶化剤としての機能について、また、当研究室で行っているセルロース/PP複合化に関する研究内容について紹介する。
- 無水マレイン酸変性PP (MAPP)
- グラフト反応メカニズムとその構造
- 分子量/グラフト量バランス
- MAPPの添加効果
- ガラス繊維強化ポリプロピレン (GFRPP)
- ウッドプラスチック (WPC)
- 各種フィラーとの複合材料
- セルロース/PP複合材料の開発
- 研究の背景 (バイオエコノミー,海洋プラスチック問題)
- セルロース/PP複合化の課題と解決へのアプローチ
第2部 フィラー充填プラスチックにおけるマレイン酸変性樹脂の役割解明のための実験的アプローチ
(2023年12月12日 13:00〜14:30)
フィラー充填プラスチックの相容化剤として用いられる酸変性樹脂は、効いて当たり前と捉える向きも多い。しかし、確かな実験事実を得るには困難が伴う。最近演者らは、酸変性樹脂とセルロース系フィラーの結合を分光学的に解明し、フィラーへの酸変性樹脂の濡れ性の評価とその物性への影響を明らかにしており、ごく最近は複合材中でのフィラーの分散性の簡便な定量評価法を提案している。
本セミナーでは、これらの分子レベル〜nmレベル〜μmレベルに至るスケールで、相容化剤の働きをなるべく定量的に解明しようとしている最近の演者らの研究例をご紹介する。
- 酸変性樹脂の役割と研究法
- 酸変性樹脂の役割はわかりきったことなのか?
- 酸変性樹脂のはたらき;どう効いているか?
- セルロース系フィラーと酸変性樹脂は共有結合しているのか?
- そもそも酸変性樹脂の挙動は簡単に分析できるのか?
- 一般的な研究例と最近の意欲的な取り組み
- フィラーと酸変性樹脂の結合の検出 (分子レベル)
- 相互作用サイトの濃縮 (酵素分解、溶媒抽出)
- 分光測定に必要な前処理
- 分光測定のデータ紹介
- フィラー表面への酸変性樹脂の濡れ性評価 (nmレベル)
- 示差走査熱量計による簡便法:昇降温測定
- モルホロジー観察 (走査型電子顕微鏡、蛍光顕微鏡)
- フィラー共存下での酸変性樹脂の結晶化挙動の解析
- フィラー表面への酸変性樹脂の濡れ性と力学物性・破壊挙動の対応
- 複合材中でのフィラーの分散性の簡便な定量評価 (μmレベル)
- 試料の前処理
- フィラー分散性のパターン分類 (ポワソン型/集中型/規則型)
- 実際の観察とデータ整理
- フィラー分散性と力学物性の対応
- 酸変性樹脂研究の新たな展開:リサイクルに向けた取り組み
第3部 両末端マレイン酸変性PPを用いた共重合樹脂の合成と各種アクリル酸類を用いた新規変性PPの開発
(2023年12月12日 14:45〜16:15)
ポリオレフィンの精密熱分解により得られる二重結合含有ポリオレフィンの解説を行い、その機能化についてまとめる。特に本講演ではマレイン酸変性PPを用いた共重合樹脂の合成とその特性について概説する。さらに当社で開発が進められている各種アクリル酸類を用いた新規変性PPの合成とその特性について触れる。
- ポリオレフィン (PO) の精密熱分解
- POの精密熱分解について
- ポリプロピレン (PP) の精密熱分解とその生成物
- その他のPOの精密熱分解とその生成物
- 二重結合含有POの機能化
- 二重結合の官能基化
- 官能基化POを用いた共重合樹脂の合成とその特性
- マレイン酸変性PPを用いた共重合樹脂の合成とその特性
- マレイン酸と各種アクリル酸類を導入するための新しい方法
複数名同時受講割引について
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