熱音響現象は音波を介することで、熱と仕事の相互変換が行われる現象です。細管流路に排熱等と冷却水を用いて閾値を超える温度勾配を設けることで、管内音波を励起することが出来ます。温度勾配で音波を発生させることが出来る装置を熱音響機関と呼び、音波入力でヒートポンプ動作が可能な装置を熱音響ヒートポンプと呼んでいます。熱音響機関で発生した音波をリニア発電機に入力することで、熱で発電が可能な装置、「熱音響発電機」を実現することが出来ます。また熱音響機関と熱音響ヒートポンプを組み合わせることで、熱で冷却が可能な装置、「熱動作・熱音響ヒートポンプ」を実現することも出来ます。 これらの熱音響装置は熱と仕事の相互変換が行われる部分に可動部品を必要としない、という特徴があります。そのため、ローコスト、メンテナンスフリーな装置を実現できる可能性があります。 本講義では基本的な熱音響現象の解説と簡単な実験方法の説明、さらに「熱音響発電機」、「熱動作・熱音響ヒートポンプ」の紹介を行います。