いま『ものづくり』の現場では、次世代に向けた商品開発が熾烈を極める中、製品に関わる市場問題の多発やその対応コストの肥大化など、「メイド・イン・ジャパン」のブランドそのものを危ぶむ声が囁かれ出しています。一方、「技術開発」の領域では、近年急速に普及した技術の「デジタル化」が、「すりあわせ技術」を核とした我が国の『ものづくり』の優位性を低下させつつあります。今後、市場のグローバル化が更に進み多様化する技術課題に対応するには、「ものづくり」を原点に戻って再強化することが急務です。
中でも開発の現場には、ダントツに魅力ある製品を短期間に「確かな設計」で開発することが求められています。しかし、90年代から多くの企業で展開された組織のフラット化は、個人の目標管理と成果主義に偏重篩過ぎた結果、現場で若手を育成する風土が薄れ、今、中堅技術者の「設計力」や「設計センス」の低下が懸念されています。特に設計者は日々、打ち合わせや調整業務、職場管理などに追われ、肝心な『設計力』を向上させる機会が少ないのが実情です。
本セミナーでは、長年、製品開発の現場で開発設計を担当した講師が、強い設計者となるための「機械設計の勘所」を事例を含めて解説・指導する。
- はじめに
- 「ものづくり」の源流は『設計』
- 今、「設計力」の強化が急務な理由
- 「強い設計者」になるために
- 必要な意識と心がけ
- 論理的に考える癖をもつ
- 設計センスを身に付ける
- 製品企画における勘所
- 製品のライフサイクルと対応技術
- 技術進化の法則
- 製品の成長と対応する技術
- マーケティングとベンチマーク
- 開発の「思い」に即した市場調査
- 効果的な製品ベンチマーク
- 開発目標値の適確な設定
- 製品設計の勘所
- 図面作成
- 力学的に合理な形状
- 適確な仕様/特性/寸法指示
- 累積公差設計の選択
- 材料の選定
- 金属材料
- 有機材料
- 金属の熱処理/溶接
- 焼き入れ焼き戻し処理
- 溶接による材料特性/性能劣化
- 表面処理
- 電気メッキの原理と現象
- 陽極酸化被膜処理
- 腐食/防食処理
- 腐食の基本メカニズム
- 異種金属接触腐食と防食設計
- 摩擦/摩耗
- 表面構造と凝着摩擦
- 表面粗さの選択
- 摩耗の形態と対応
- ねじ要素
- ねじ締結の理論
- 緩みとねじ破壊
- 締結部の内力係数と荷重
- 強度設計
- 低サイクル疲労と高サイクル疲労
- 設計寿命の検証
- 累積被害則 (Miner則)
- 設計審査 (DR) の勘所
- 試験評価の勘所
- 製造での「設計品質」つくりこみ
- 演習 (設計センスの向上)
- 各分野の基礎的な技術について出題 (今回は力学、材力、熱、流体、空間認識など)
- 受講者の皆様に考えていただいた後、講師より解答と思考プロセス、ポイントを説明
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