本セミナーでは、セルロースの基礎から解説し、セルロースをポリマー素材 (材料ベース) として活用するための方法論を具体例に解説いたします。
前世紀末期より顕在化した資源環境問題を背景に、バイオマス利用の新しい成長ルートの開拓が強く望まれている。材料創製の諸分野においても然りであろう。 本セミナーでは、バイオマス系天然高分子の代表格であるセルロース及び類縁多糖類を主対象に、それらの基本的特質と、高機能化用ポリマー素材 (材料ベース) としてモダン活用するための方法論ならびに具体例について解説する。 バイオマス系高分子をベースとした材料利用の新規開拓とは、それらが有する天賦の構造と特性をフルに生かして (または克服して) 機能材料へと変換することに尽きる。アプローチとしては、主に物理的な手法によってプリスチン形体での顕在特性を活かした材料利用と、主に化学的な手法によって潜在特性を活かした改質形体での利用とがある。いずれにせよ、そのためには、生物由来素材としての構造ならびに特性のヒエラルキーを広域のディメンションスケールにおいて正確に究めていくことが必要である。 演者のラボでは、セルロース系多糖類を基軸に、分子及びその集合体の物理化学的特性に係る基礎研究と、種々の化学的プロセシング法の開発を含めた応用研究をパラレルで推進し、近未来に活躍しうる環境調和型・多機能発現型の有用マテリアルに導くモダニズム路線を展開している。可能性と妙趣を感じとってもらえるセミナーとしたい。