本講座では、電子回路中の受動部品として欠かせない存在であり、その発展 (小型化・高性能化) が著しく、携帯電話など様々な機器に数多く搭載されている主要な電子部品である積層セラミックコンデンサについて、これまでの誘電体セラミックス材料における開発経緯と製造工程、今後期待される材料 (設計) について説明した後に、成形助剤の選定を含めた未焼成体の成形 (テープ成形中心) ・乾燥過程から積層型素子とするための積層・焼成過程に至るプロセス因子 (水系と有機溶媒系での違いを含む) について解説し、特に重要な還元雰囲気焼結のための技術について紹介する。
ここでは、セラミックスの微構造がその特性に与える効果と原料粉末成形時の分散状態の重要性、成形助剤の除去過程が信頼性に与える影響、機能元素のドープがプロセスウィンドウに与える効果、金属電極との積層体として考えた製造プロセスと構造欠陥・信頼性との関係など様々な角度から調査したデータをもとに議論したい。これらに加えて、従来の製造方法に代わる新しいプロセス技術に関する研究例の紹介も行う。
本講座の内容は、誘電体セラミックスに限らず幅広い (他の) セラミック材料系へも展開が期待でき、これまでの経験的な要素ばかりでなく積極的にサイエンスを導入することにより理解を深め、今後の開発活動に大きな効果を見出すことを目標としている。
- 電子部品業界と積層セラミックコンデンサ
- 電子部品に関わる動向と積層セラミックコンデンサ
- 誘電体材料に求められる各種物性
- これまでの積層セラミックコンデンサ用誘電体材料開発
- 今後開発が期待される誘電体セラミックス材料
- 積層セラミックコンデンサの製造に関わる重要なプロセス因子
- 積層セラミックコンデンサの製造工程
- 誘電体セラミックス原料の合成法
- 機能元素成分の添加がプロセスウィンドウに及ぼす効果
- 成形助剤の選定を含めたプロセッシング技術
- テープ成形技術を中心とした積層成形体の作製技術 -
(水系と有機溶媒系との違いも含む)
- 誘電体セラミックスの成形助剤、脱脂過程が信頼性に与える影響
- 誘電体セラミックス – 金属電極同時焼成プロセスの設計
- 誘電体セラミックスの低温焼結技術
- 卑金属電極使用のための還元雰囲気焼成技術 (耐還元性の付与技術を含む)
- 積層型セラミックス素子用電極材料の開発
- 積層型セラミックス素子の微構造と特性との関係
- 誘電体セラミックス成形時の粒子分散状態の重要性
- 積層成形体の作製と構造欠陥・信頼性との関係
- 将来に向けた積層セラミックコンデンサ関連研究の状況
- まとめ
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