しばしば「3D CADを導入してはみたけれど、うまく活用できていない」という悩みを聞きますが、CADやCAEはあくまでもツールであり、導入することが目的ではなく、目的へ至る手段に過ぎません。「設計の手戻りを撲滅する」という目的のためには、3DCADを単なるモデリングツールではなく、設計検証ツールとして活用することが重要となります。
「設計」とは何らかの目的を実現するために、具体的な手段や方法を考えながら、全体を統合していく作業です。本セミナーでは、まず最初に (1) 機械・製品の目的やコンセプトを明確にしながら、それらを達成するために必要な仕様 (設計の目標値) を設定することから始め、 (2) 仕様を満たす具体的な構造や機構を考えて、 (3) その設計結果を検証する、という「手戻りのない設計プロセス」について説明します。
ひとくちに「設計」といっても、設計には白紙の状態から始める「新規設計」と、既存の機械や製品に部分的な機能を追加したり変更したりするだけの「流用設計」があります。どちらも作業の進め方は同じですが、「流用設計」の場合は「早く・安く」「従来と同じで」「マニュアル通りに」などに主眼が置かれるあまり、設計の目標値である「仕様」を軽視した設計になりがちです。仕様を曖昧にしたままで具体的な構造や機構を考えても、仕様に対する検証が不十分となり、手戻りを発生させる原因となります。
設計検証では「少ない手数で、手戻りの原因となる問題点を早く見つける」ことが重要となるので、3D CADを効果的に活用するには単に完成形状をモデリングするだけではなく、「物の形を決めてゆく過程 (設計プロセス) を3DCADの中で再現する」ことを意識する必要があります。
本セミナーでは3D CADの操作は行いません (必要な場合は別途ご相談ください) が、講義とモデリング事例を通じて、手戻りをなくすための設計プロセスと、設計検証を考慮した3DCAD本来の実践的な活用方法について、その基本的な考え方を学ぶことができます。
何らかのツールを導入する場合、多様な選択肢に迷うこともあると思いますが、導入すること自体が目的とならないように注意してください。すでに導入されている企業では、目的が曖昧になって効果がでていないことをツールのせいにしていないか、見直すことも必要です。
- 仕様の明確化
- 要求仕様および設計仕様
- 場面を想定した上で設計課題を解決するための条件や機能
- コンセプト (場面) の設定
- 設計を進める上での合意事項
- 使用場面や目的などを6W3Hで記述
- 上位の仕様から優先順に考える
- 定義した条件や機能の目標を数値 (SI単位系) で決定
- 仕様の上下関係
- 下位の仕様は理由なく上位の仕様に反しないこと
- 仕様で抜けているものは設計部門が責任を持って決定
- 順序立てて考える
- 仕様に基づき具体的な構造や機構を考える
- 仕様 (設計目標値) の曖昧な構造や機構は無意味
- 3D CAD・CAEは設計検証を効率化するためのツール
- 【演習】仕様項目の設定に関する演習課題があります
- 機能の具現化
- 構想設計
- 仕様を満たす具体的な構造や機構を全体から個々へと考える
- 構造や機構が仕様を満足しているか検証
- 樹系図の活用
- 設計内容を機能別に分類・ツリー状に系統化
- 機能分類と系統化
- 適切に分類・系統化された樹系図 (階層が深く分木が少ない)
- 分類・系統化されてないフラットな樹系図 (階層が浅く分木が多い)
- 設計検討の組み合わせ数
- 樹系図3ヶ条
- 設計で重要な機能から分類
- ひとつの階層は4分木以内
- アセンブリと部品は混在させない
- 製造順と設計順
- 工作機械、バルブ・油圧回路の例
- 設計部品表 (EBOM) と製造部品表 (MBOM)
- 樹系図の応用
- 鋳物部品などの複雑形状
- モジュール化設計
- 【演習】樹系図の考え方と作成に関する演習課題があります
- 設計検証
- 構造や機構が仕様を満たしているかをチェック
- 3D CAD・CAEなどツールの活用方法
- 少ない手数で早く問題点を見つける
- モデリング3ヶ条
- 設計で重要な部分から作成
- フィーチャを設計機能に対応させる
- 設計基準を明確にする
- チェックリスト
- 3D CAD活用自己診断シート
- 3D CAD活用べし・べからず集
- 【事例紹介】設計の進め方および3D CAD・CAEを活用した設計検証に関する内容
- モデリング3ヶ条、設計基準と加工基準
- 定石コマンド、順序変更、挿入、2D断面スケッチ
- 解析 (CAE) のタイミング
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