圧電薄膜バルク波共振子 (BAW) や弾性表面波 (SAW) は小形、軽量、周波数無調整、高信頼性、高周波化対応可能等の特徴を持つ。SAWの民生用への応用はテレビの映像中間周波数 (VIF) 用フィルタが最初で、その後SAWデバイスは自動車電話、コードレス電話、ペジャ用などへの応用を経て、今や携帯電話、スマートフォンに欠かせない重要な部品となっている。一方、BAWは携帯電話の普及により採用され、当時、SAWの比べて急峻な特性を持つため、急峻な特性が要求されるbandを中心に採用されるようになった。近年のスマートフォンの普及により、両デバイスは、それぞれ特徴を生かしたBandに使用されている。また近年の周波数の混雑対策として、SAWでも急峻な特性が得られるようになってきている。今後、急峻な特性と良好な温度特性をもつフィルタ特性に加え、キャリアアグリゲーションシステムの普及により、広い周波数範囲でスプリアスのないフィルタや第5世代用あるいは次の世代用高周波フィルタが要求されるなど、ますますFBARやSAWフィルタへの期待が高くなっている。
講師は、BAWや良質なZnO膜の開発に加え、TV用SAWフィルタ実用化の黎明期から現在に至るまで、SAWの開発・実用化・製造に取り組んできている。これらの経験を活かし、弾性体や圧電体の基本的な考え方・理論、BAWやSAWの原理、BAWやSAWの種類や励振方法、それらに適した材料、それらを応用したFBARやSAW共振子、ラダーフィルタへの原理・構成方法、実用化成功の秘訣、今後のBAWやSAWの技術の動向などについて講演する。
- 弾性体の基礎
- 弾性体の結晶構造
- 歪と応力の関係
- 弾性定数
- 運動方程式
- 弾性体の縦波音速、横波音速は何に依存している、どのように求める
- 圧電体とは
- 圧電現象
- 圧電方程式 (圧電定数)
- 結晶構造のおける圧電定数の違い
- 電気機械結合係数
- BAWとFBAR
- バルク波 (BAW) とは
- 厚みすべり振動とは
- 厚み縦振動とは
- FBAR用材料
- 成膜方法
- BAWやFBARの厚み振動共振子の周波数は何で決まる
- 厚み振動共振子の帯域は何で決まる
- エネルギー閉じ込め振動とは
- キャビティ構造とSMRの違いは
- 共振子とラダーフィルタ
- 共振子
- ネットワークアナライザによる共振子特性の測定
- スミスチャート、動アドミタンス特性
- 共振周波数、反共振周波数とは
- 電気機械結合係数
- Qとは
- 等価回路
- 2重モードフィルタとは
- ラダーフィルタとは
- フィルタの帯域は
- 帯域は何に依存する
- 高周波化するには
- SAW
- SAWとは
- SAWとBAWの違い
- SAWの励振
- SAWの種類
- レイリー波
- 漏洩弾性波
- 縦波型漏洩弾性波
- セザワ波
- BGS波
- ラブ波
- 層状構造弾性波
- 境界波
- 板波
- 板波とBAWやSAWとの違いは
- ラム波と横波型 (SH型) 板波
- LiNbO3やLiTaO3薄膜を用いたデバイスの例
- SAWの解析方法
- SAW用材料
- セラミック (PZT等)
- 薄膜 (ZnO等)
- 単結晶
- LiTaO3
- LiNbO3
- 水晶
- LBO
- ランガサイト等
- SAW共振子
- SAW共振子の原理
- SAWフィルタの種類
- トランスバーサル型フィルタ
- 縦波型共振子フイルタ
- 横波型共振子フィルタ
- ラダーフィルタ
- 実用化に成功するために
- 今後の動向
- 高周波化
- 広帯域化
- 他
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 45,000円(税別) / 49,500円(税込) で受講いただけます。
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