PIC/SやICH Qトリオ、Q11〜12の進展によるGMPのグローバル化の中、医薬品の製造管理、品質管理を行う上で、逸脱・変更管理・OOS/OOTは日常的に発生し緊急の対応を迫られることが多い。常に的確な判断が必要であり、対応を一歩誤ればGMP違反となるばかりでなく、製品回収や業務停止命令などの大きな問題に発展することになる。改正GMP省令 (2021年8月施行) に準拠した逸脱・変更管理の効率的な対応のポイントと製造現場での実際の事例を、品質マネジメントシステム運用の視点から解説する。
また試験室管理におけるOOS (規格逸脱) やOOTなどに対しては即時即応の対応が求められるが、最近のPMDAやFDAなどの指摘事例、データインテグリティ (DI) 、及び対統計的手法の活用等も含めて解説する。逸脱・変更管理の判断基準と効率的対応の基本は、医薬品品質システム (PQS) の適切な運用、及び品質カルチャー醸成による品質確保の重要性をいかに認識しているかにかかっている。
- はじめに
- 品質マネジメントシステム
- GMP省令第14条「変更管理」第15条「逸脱管理」
- ICH Q9を考慮した変更・逸脱管理 (CAPAシステム)
- GMP省令改正 (2021年8月施行) と逸脱・変更管理、承認書と製造実態の遵守
- 製造販売業三役の適切な実施
- 法令遵守、三役体制、品質管理業務の留意事項
- 承認申請書記載内容のグレー部分に対する製造現場としての判断基準
- 医薬品製造所としての適切なGMP省令第14条「変更管理」第15条「逸脱管理」の効率化とポイント
- 変更管理と逸脱管理
- 変更・逸脱管理のクラス分けと一変・軽微変更の判断基準について
- 逸脱・不適合・異常の相違点
- 品質不良並びに逸脱、及びそれらのクラス分けと事例 (原薬、製剤別のクラス分け) :
- 「逸脱処理」の範囲で済まされる内容とそうではない場合
- 逸脱発生の根本原因究明とCAPA管理及びヒューマンエラーの防止
- 逸脱・変更管理に伴う手順の変更と社内管理運用体制
- OOS/OOT (試験逸脱) に対する対応の効率化と適正化
- ラボの逸脱管理:GMP省令及びICH Q7、PIC/S GMPの要求事項
- FDA及びMHRAのOOSガイドラインについて
- OOS対応:初期調査、QA調査、ラボエラー
- 試験室管理と外れ値・異常値対応
- OOT対応:程管理図 (シューハート管理図) 、安定性試験における傾向分析
- 試験室管理とOOS/OOT作業手順書の作成
- QCラボのDI対応
- Form483の警告書と回答事例
- 逸脱・OOSに対応した統計的手法の活用法
- 品質リスクマネジメントによる統計手法
- リスクマネジメントの方法と手法
- ハザード分析と重要管理点
- 支援統計的手法 と組み合わせ
- まとめ
- 品質マネジメントレビューによる変更・逸脱・OOS/OOTへの効率的対応
- 品質文化の醸成による適正な変更・逸脱・OOS/OOT 管理
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