第1部 連続フロー晶析や多形現象制御のための過飽和操作戦略
(2023年5月9日 10:30〜12:00)
分離精製や粒子群製造の目的で「再沈」や「再結晶」とも呼ばれる晶析操作が行われている。ところがその操作の少しの違いが、最終製品や生産性に影響を与える。例えば、純度、多形、粒径分布など粒子群特性に関わる課題である。結晶性物質を製造する上で最も基本的な概念は、結晶化現象をつかさどる推進力「過飽和」である。このセミナーでは、連続フロー晶析がなぜ注目されるのか、そして結晶粒子群の特性、特に結晶多形現象の制御について、過飽和の観点から紹介し、その操作戦略について解説したい。
- 「再沈」「再結晶」と晶析との接点
- 晶析操作が注目されている理由は何か -
- 有機合成と工業晶析操作との接点とは
- 晶析操作によって作り込める製品特性とは
- 連続フロー製造が注目される理由とは
- 晶析操作の工夫による結晶粒子群の特性制御
- 結晶化現象をどう理解し制御するのか -
- 結晶化の推進力と固液平衡
- 核発生と成長
- 今すぐ役立つ結晶粒子群を創るためのポイント
- 具体的問題解決アプローチ -
- 安定した結晶を思い通りに創りたい場合
- 結晶多形現象に及ぼす晶析操作因子とは
- 結晶多形現象制御の戦略
- 結晶の純度を思い通りに良くしたい場合
- 思い通りに結晶を創るための晶析操作設計法
- 結晶品質の作り込みレシピ戦略を立てるためには -
- 晶析操作設計の留意点 – 非 (貧) 溶媒添加法 -
- 結晶粒子群の連続フロー製造での留意点
- まとめ
第2部 晶析工程における結晶多形・類縁物質の管理
(2023年5月9日 13:00〜15:00)
晶析とそれに続く固液分離 (濾過) は医薬品、化学製品の製造でごく普通に行われる操作である。晶析プロセスでは再現よく結晶の特性を制御し、目的の結晶を製造する必要がある。制御する特性には粒径や粒径分布、結晶多形、純度 (類縁物質) 、形状、結晶化度など様々なものがあり、制御できなければその後の遠心脱水工程や品質に影響を及ぼすことがある。例えば濾過性の悪い結晶は類縁物質を含む母液の一部が結晶に残って精製効果が得られず、品質に影響が出る。濾過性のよい結晶でも、溶媒和物、水和物が生成すればその後の乾燥工程に影響する場合がある。
本セミナーでは、具体的に商用生産に至った化合物を例に、スケールアップ検討の過程で遭遇した結晶多形、類縁物質、溶媒和物、水和物等、晶析が絡む種々の問題点をどのように解決して商用生産に至ったかを説明する。
- 医薬品 (原薬) 、化学品の開発とスケールアップ (基本的な考え方)
- 実験室スケールとスケールアップの相違点
- 原薬、化学品を製造する立場から見た晶析・精製工程での注意点 (事例を基に)
- 晶析、精製工程での逸脱 (震災での経験、FDAの査察から)
- 乾燥工程、残留溶媒、製品を納入したら塊が!
- 結晶多形、晶析溶媒、包材の管理
- 濾過性の悪い結晶の対応法:どのような改良をして商用生産に移行したか (実例を参考に)
- 結晶多形の管理、類縁物質の管理
- 安定型+準安定型の混晶が得られた場合の対処法、その他
- 溶媒和物 (水和物) の考え方:
- 溶媒和物の脱溶媒和法、水和物の脱水法:いくつかの事例、経験から 実験室で簡単に評価できる方法 -
- スケールアップを想定した実験法 (具体例を基にしたスケールダウン実験)
- スケールアップでの注意点 (スケールアップ事例を参考に)
- 爆発性中間体の濃縮工程の回避:メチルエステル、エチルエステルの比較実験をして、中間体の物性を比較。
- 抗生物質側鎖の製造:溶媒和物とすることで結晶化
- 目的物が異性化:再結晶プロセスをスケールアップしたら目的物が得られなくなった。
- 目標規格の原料が手に入らない:商用生産に入ろうとしたら原料が入手できなくなった。
- 水和物の無水和物への変換:パイロットまでは問題なかったが、商用生産で乾燥機の選択を誤った。
- キャンペーン生産:スポット生産では問題なかったエステル交換反応をキャンペーン生産に切り替えたところエステル交換反応が進まなくなった。
- 結晶多形の管理:混晶のままIND申請。その後の対策。
- 結晶多形の同等性:外部委託したら結晶形で同等性の問題が発生。
- 水和物の副生:順調に商用生産がスタートしたが、製品の乾燥時間が突然2倍 (10時間→20時間) になった。
- 水和物の乾燥方法、乾燥終点の設定
- 溶媒和物の乾燥法
- その他
第3部 連続晶析装置によるグリシンの結晶特性の制御
(2023年5月9日 15:15〜16:45)
従来の液体化学製品だけでなく、医薬品を始めとする固体の化学品製造においても、バッチ生産から連続生産への転換が図られている。その要因の一つとしてバッチ製造と比較して製造にかかる人手を減らすことによるコストメリットがあげられる。さらには、設備の連続稼働時間の調整によって製造量を容易に変更できるために、需要の変動にも柔軟に対応したオンデマンド型の生産ができることが大きなメリットとなる。医薬品等の固体化学品の連続生産を実装していく上で鍵となるのは連続晶析操作である。
連続晶析を適用していく上でスケールアップ面での留意点について展望したい。
- 連続晶析装置開発の経緯
- 化学反応装置開発の動向
- 高付加価値材料生成のための晶析戦略
- 装置の開発背景
- リアクタライザーの特徴
- Taylor Vortexについて
- クリアランスと剪断応力
- 安定した連続晶析を可能にする装置構造
- 内部冷却機構
- グリシンの結晶特性制御
- グリシンについて
- 粒子径制御
- アスペクト比の制御
- 多形制御
複数名同時受講割引について
- 2名様以上でお申込みの場合、1名あたり 50,000円(税別) / 55,000円(税込) で受講いただけます。
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