量子ドットのディスプレイ用途に向けた技術動向

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本セミナーでは、量子ドットディスプレイの市場、ガラスマトリックスへの分散技術、脱カドミウムの動向を詳解いたします。

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プログラム

第1部 量子ドットの基本的物性と耐久性向上技術

(2023年4月21日 10:30〜12:00)

 コロイド法で作る量子ドットは、新しいタイプの蛍光体として知られるようになった。  本セミナーでは、この量子ドットの研究の背景・経緯を説明し、基本的な物性とそれに関わる粒成長のメカニズムについて解説する。このような基本を押さえたうえで、量子ドット合成、ガラスマトリックスへの分散手法について講師独自の見解を加えて解説する。

  1. 量子ドット研究の経緯と基本的な構造・特徴
  2. 量子ドットの基本的な物性と粒成長メカニズム
    1. 物理的、化学的性質 (量子サイズ効果など)
    2. エネルギー準位の計算方法と留意点
    3. 量子ドットのサイズと濃度の求め方
    4. 粒成長メカニズムと発光効率
  3. 量子ドットのガラスマトリックスへの各種分散法
    1. バルク体への量子ドット分散:その方法と留意点
    2. 微小ガラスカプセル中への分散・安定化
  4. 量子ドットの各種特性評価の方法
    1. 単一分子検出法の発明の経緯とノーベル賞
    2. 耐光性の測定・評価法

第2部 量子ドットディスプレイの技術動向、課題と今後の展望

(2023年4月21日 13:00〜14:30)

 2022年は量子ドット (QD) ディスプレイに取り進歩の年になった。OLED青光源をQDに照射、緑あるいは赤変換するフォトルミネッセンス (PL) のQDカラーフィルターを配備したQD-OLEDを三星ディスプレイが量産供給開始、これがSONYなどのTVで商品化されたからだ。  一方、QDに電気を流し発光させるエレクトロルミネッセンス (EL) のQD-ELは、OLED製造メーカを中心に国際学会SID’22やIDW’22で開発発表が相次いだ。OLEDとの互換性の高さに加え、低コスト化を踏まえたインクジェット印刷製法ベースの開発であり、次世代デバイス技術として位置づけている。  本セミナーでは、まず、QDディスプレイのロードマップ、ディスプレイデバイス市場でのQD位置づけを解説する。QDディスプレイの高画質性能は既に多くの解説が存在する。今回はこの鮮烈デビューしたOLED、及び次世代デバイスのホープQD-ELの課題に深く焦点を合わせて解説する。QD-OLEDの課題は、変換効率と取り出し効率の低さに起因する消費電力 (CES2023では30%の効率向上が報告) 、明室でのピンク着色、QD-ELは青を中心とする寿命の短さである。前者では三星ディスプレイのデバイス対策、後者では開始されたメカニズム解析について議論する。

  1. 量子ドット (QD) ディスプレイのロードマップとディスプレイ製品分類内の位置づけ
    1. QDディスプレイのロードマップ
    2. ディスプレイデバイスの市場毎の分類と配置 (戦国絵巻)
  2. CES2023におけるプレミヤTVを中心とするQDディスプレイ搭載機器提案
  3. 2022年に鮮烈デビューした三星ディスプレイのQD-OLED技術内容と課題
    1. 三星ディスプレイ (SDC) がアピールするQD-OLEDの高画質性能と市場での実測特性評価
    2. 技術課題は機器消費電力の高さと明所外光反射でのピンク色表示
    3. 解析:電力課題の原因はフォトルルミネッセンス色変換と取り出し効率の低さと推定
    4. 解析:ピンク表示の原因は赤色QDの外光による発光と推定
    5. 解析:反射色のニュートラルブラック化を促進するQD-CF断面構造と樹脂部材の選定
  4. OLEDに続く次世代ディスプレイデバイスを目指すQD-EL (=NanoLED)
    1. QD-ELの狙いと課題
    2. 最大課題は寿命の改善:寿命劣化のメカニズム解析が開始、まずはリガンドに着目
    3. 最新学会Nansys報告 (IDW2022) :コアシェルが球から立方体構造が欠陥密度を低減

第3部 カドミウムフリー量子ドットの高機能化と展望

(2023年4月21日 14:45〜16:15)

 量子ドット (コロイド状半導体ナノ粒子) はスペクトル半値幅の狭い蛍光体としてディスプレイ材料への利用が進んでいるが、カドミウム化合物を中心として開発された経緯から、脱カドミウムは重要課題の一つである。我々のグループは、カドミウムフリー量子ドットの候補でありながら、半値幅の広い「欠陥発光」のみを示していた硫化銀インジウム (AgInS2) 量子ドットに硫化ガリウム (GaSx) シェルを被覆することで、単色性の高い黄色の「バンド端発光」を実現した。その後、バンドギャップの異なるAgGaS2との固溶体組成による波長シフトに成功し、3原色の1つである緑色発光を実現したが、4元素で構成されるナノ材料を正確に合成するのは容易でなかった。  混合原料を加熱する従来型のコロイド合成法とは一線を画し、中間種となるナノ粒子を経由した新たな方法を開発し、カドミウムフリー量子ドットとしては最も狭い、スペクトル半値幅30 nmの緑色発光を高い量子収率で実現した。

  1. 量子ドット開発の歴史と発光性量子ドットの構造
  2. カドミウムフリー量子ドット
  3. 第11, 13, 16族化合物量子ドットからのバンド端発光
  4. 多元素組成量子ドットの選択的合成と多色化に向けた取り組み
  5. 量子ドット発光デバイスへの応用

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