粒子の分散安定化はコーティング液や複合材料の必須技術であり、その基本的な理解は塗料・インキ・電池・接着剤を含むコーティング液やプラスチック材料の設計に有用である。ここでは分散安定化のメカニズムを見た後、分散剤・湿潤剤・湿潤分散剤の構造と特性を解説する。各粒子の特性とマトリクスを形成する樹脂系・溶媒との関係を、熱硬化・水系・UV系・エポキシ系など様々な系を例示して理解を深める。
また、分散液もきちんと塗布・乾燥して初めてその性能を発揮するので、塗布性 (濡れ・泡・均一性・平滑性など) の向上策についても触れる。分散の設計にかかわる方から、分散液を用いて加工をされる方、膜になったものを利用する方まで、例を交えてできる限り分かりやすく説明する予定である。
- 分散安定化の基礎的な考え方のおさらい
- 粒子の濡れとマトリクス中での安定化の二つが重要
- 分散に関係する粒子の表面特性は
- 樹脂・溶媒で形成されるマトリクスの特性は
- 添加剤は粒子の濡れと安定化に関与
- 主な分散剤の構造と特性を理解する
- 分散剤を構成する要素は吸着基と相溶性鎖
- 低分子量タイプと高分子量タイプの湿潤分散剤
- 湿潤分散剤による膜物性への影響は
- SDGsと開発の方向は
- 再生産可能原料を用いた湿潤分散剤の開発
- 環境負荷をできるだけ小さく
- 様々な粒子・マトリクス系での分散安定化の例
- 有機顔料・カーボン系粒子・金属酸化物・非酸化物系無機粒子の分散
- 水系・溶剤系・UV系での分散
- 熱可塑性樹脂でのフィラーの分散
- 塗布性を向上させるには
- 粒子の沈降を防ぐ
- 基材への濡れ性を上げる:表面張力と表面調整剤
- 泡の問題を解決する:消泡メカニズムと消泡剤
- 粘性を制御する:レオロジーの基礎とレオロジーコントロール剤
- 平滑性の向上と評価方法:表面調整剤と測定機器
- まとめ
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