環境対応型塗料と新技術へのアプローチ

再開催を依頼する / 関連するセミナー・出版物を探す
オンライン 開催

本セミナーでは、コーティング膜の塗料用樹脂、付着性・強度の試験・評価、内部応力や水の作用、付着性の向上・強度設計、塗料・塗装の欠陥対策について、基礎から解説いたします。

日時

開催予定

プログラム

工業塗装の原点は、塗装から乾燥に至る全ての工程を管理された環境下で行うことです。有機溶剤を使用する溶剤型塗料は塗装の仕上がり性を制御出来るため、工業塗装の主役を演じてきました。しかし、VOC (揮発性有機化合物) は光化学スモッグや大気汚染を発生させるために、その削減が塗料工業の最も大きな課題になりました。この環境対応という要請の中で塗料はハイソリッド化、水性化、粉体化に転換している過程にあります。  本セミナーでは、環境対応型塗料とはどのような塗料なのかを溶剤型塗料と比較しながら、整理して行きます。そして、良い仕上がり外観と塗膜性能を向上させるために新技術にアプローチする考え方を紹介します。

 従来の塗料から水や大気汚染を防止する塗料に替えるために必要な考え方、例えば、溶媒が水になったら、ポリマーには水に親しくなる官能基を選ぶが、このまま塗膜になれば耐水性が劣る。そこで、官能基を化学変化で疎水性に替える技術があれば良いことになり、展望が開ける。沢山の気付きを講義を通してつかんでください。  塗装は素地調整にはじまり、下塗り、中塗り、上塗りというチームワークで、塗装目的を成し遂げます。一朝一夕には全てをマスターすることはできませんが、Step by stepでやって行くことが必要です。塗装管理者の方が本セミナーを受講されることは有効です。それは、塗装材料や組成を知ることができ、何処が問題点かをつかむことができるからです。受講をお薦めします。

 塗料の必要条件は、1) 流動すること、2) くっつくこと、3) 固まることに集約できます。塗料は有機材料、無機材料の混合物であり、絶妙なバランスで塗装効果を発揮しています。環境対応型塗料の導入は、言いかえれば油絵の具を水彩絵の具に替えて、同じ仕上がり外観を出せと言うことであり、さらには、粉末絵の具を与えるから、液体のそれと同じように仕上げろと要請されることです。工業塗装では宿命として、環境対応を積極的に進め、環境負荷の軽減に努力しています。  バランスよく作られてきた従来の溶剤型塗料から溶解力のない水に替えたり、粉体に替えると塗料としてのバランスは崩れるであろうが、何かしら新しい気付きを本セミナーでつかんで頂きたいです。

  1. 第1章 塗料とはどんな材料か
    1. 身の回りの塗料と必要な性能
    2. 塗料の原料と製造
    3. 塗料の必要条件とは
    4. 塗料の分類 – チョコとクッキー
    5. 環境対応型 (VOC削減型) 塗料の概要
      1. ハイソリッド
      2. 水性塗料
      3. 粉体塗料
    6. VOCの削減効果
  2. 第2章 水性塗料のはなし
    1. 水性塗料とはどのような塗料か
    2. 水性塗料の技術課題
      1. 塗膜の耐水性改良法
      2. 表面張力の作用
      3. 表面張力とは
      4. 表面張力差による流動 – はじきと対流
      5. はじきを防止する添加剤の配合
    3. 塗料用樹脂の水性化手法 – 基礎編
      1. 水の存在下で樹脂を合成するタイプ – 乳化重合
      2. 溶剤可溶性樹脂を強制乳化する方法
      3. 溶剤可溶性樹脂を水性樹脂に転換する方法
    4. 塗料用樹脂の水性化手法 – 応用編
      1. 電着塗装とは、電着塗料用樹脂の調製法
      2. 電着塗料用樹脂の調製法
      3. ポリウレタンディスパージョン (PUD) の調製法
    5. 水性塗料の架橋反応
      1. 水性樹脂の架橋反応例
      2. PUDとアクリル樹脂Emとの架橋反応
      3. コアシェルタイプEmの架橋反応
  3. 第3章 粉体塗料のはなし
    1. 粉体塗料の分類と用途
      1. 作り方
      2. 塗料の分類
      3. 粉体塗料の特徴と用途
    2. 粉体塗料の設計と塗膜物性
      1. アンチブロッキング性とTg
      2. 架橋間分子量が低いわけ
    3. 塗装仕上げに及ぼす粉体塗料の要因
      1. 粒径
      2. エッジカバー性と溶融粘度
  4. 第4章 静電塗装入門
    1. 静電塗装を理解するために役立つ知識
      1. 静電気の基礎知識
      2. 塗料の電気抵抗値について
    2. 液体塗料の静電スプレー
      1. 空気霧化
      2. 回転カップ式
      3. 電気抵抗値が及ぼす影響
    3. 粉体塗料の静電スプレー
      1. コロナ放電式
      2. 摩擦帯電 (トリボ) 式
      3. 流動浸漬法
      4. 逆電離現象とは
  5. 第5章 新しい気付きと欠陥現象の見方
    1. 顔料/ビヒクル間相互作用を向上させる考え方
      • 顔料粒子表面にエポキシ基を化学的に付加させることにより、顔料粒子がポリマーと同様に挙動し、顔料とポリマーの異種界面がなくなる。この挙動に注目し、焼付け塗料の顔料効果を調べた結果、
        塗料の硬化速度は高まり、焼付け温度の低温化が可能になった。硬化塗膜では、熱膨張係数の低下と付着性および塗膜強度の向上が認められた。この手法を紹介し、解説する。
    2. ポリビン (PP, PE) の変形は、なぜ起きるのか
      • 有機溶剤をポリビンに入れて保管して居るとポリビンが変形してくる。水性塗料にも変形するものがある。
        なぜ、変形するのだろうか?この謎解きをする。
    3. PE粉体で塗装した鋼管内面塗膜の剥離事例
      • PE塗膜の収縮力が内面コートの剥離原因になる位に大きいとは意外であった。

受講料

複数名受講割引

アカデミー割引

教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。

ライブ配信セミナーについて