ナノ炭素材料の一つであるグラフェンは、キャリア移動度がSiの100倍以上、熱伝導度が銅の10倍以上等の優れた物性を持つことから、省エネで軽量な電子・光デバイスや放熱部材への応用が研究されています。さらに、原子数層の薄さのため食品ロスやインフラ技術に貢献するフレキシブルなバリア膜・保護膜として期待されています。
ここ数年で、CVD法によるグラフェンの量産技術に大きな進展がありますが、原子数層のために扱いの困難さに起因した実用材料としての課題が残っています。さらに、グラフェンの特性を引き出す構造やデバイス等に適した機能化が、用途開発には必要不可欠です。
本セミナーでは、グラフェンの特徴を紹介し、グラフェンの合成方法を説明します。実用的材料の一つであるCVDグラフェン特有の、合成基材から別基材への転写技術を、実験室レベルでのノウハウも含めて解説します。さらに、ドーピングによる導電性向上、積層や複合化による高機能化技術を紹介し、原子層のグラフェンに特化した評価技術を解説します。グラフェンの特性を活かした応用例や実用化に向けた課題に関して、著者の研究成果を交えて紹介します。
- グラフェンの特徴
- 電気的特性
- 光学的特性
- 熱的特性
- 機械的特性
- バリア性
- グラフェン形成・合成技術
- 機械剥離法
- 酸化グラフェンの還元法
- 熱CVD法
- プラズマCVD法
- 大面積成膜技術・連続成膜技術
- CVDグラフェンの転写技術
- 実験室での具体例
- 大面積成膜転写・連続転写技術
- グラフェンの評価技術開発
- ラマン分光法による欠陥・層数・応力の評価
- バックゲート型FET構造を用いた電気特性評価
- 高機能化技術
- ドーピング技術
- 高移動度化技術
- 加工技術
- グラフェンの応用例の紹介
- CVDグラフェンの透明導電膜応用
- CVDグラフェンのバリア膜・保護膜
- CVDグラフェンのデバイス応用
- 厚膜・多層グラフェンの合成と応用例
- 垂直配向グラフェン形成と応用例
- グラフェンによる金属や半導体材料の高機能化技術
- グラフェン実用化への課題
- その他の二次元ナノ材料
- まとめ
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