プラズモニック・メタマテリアルの基礎とテラヘルツ波領域への応用

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本セミナーでは、プラズモニック・メタマテリアル、テラヘルツ波について取り上げ、テラヘルツ波が主流になる未来に必要な材料・技術、既存デバイスの課題からテラヘルツ波利用のブレークスルーとなる技術・研究開発の現状・展望といった最先端の情報を提供いたします。

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光と電波の境界域にあるテラヘルツ波領域は、トランジスタを中心とする電子デバイスもレーザーを中心とするフォトニックデバイスも本質的な物理限界によって動作が困難を来すことから、「テラヘルツギャップ」と称される。このテラヘルツ波領域は、次世代超高速テラヘルツ無線の中心周波数帯としてにわかに脚光を浴びている。その電磁波波長は数ミクロンから数ミリメートルと、集積回路の特性寸法に比べて桁違いに長く、ナノテクノロジーで極限微細化を続けるデバイスや回路で直接取り扱うことは難しい。  半導体量子井戸内やSi MOSFETの反転層、或いはグラフェンをはじめとする二次元材料など、二次元的な空間に閉じ込められた電子集団による荷電振動量子:プラズモンは、電磁波 (光子) と比較してその特性波長が2桁以上短い。この波長短縮効果により、プラズモンは空間的な閉じ込めが電磁波に比べて2桁以上強い。この特徴により、通常の電子系と比較して、プラズモンは電磁波光子との相互作用が2桁以上も格段に強い。一般的なトランジスタやダイオードといった電子デバイスは、素子内に存在する電子系と電磁波との相互作用によって、周波数変換や増幅、検波といった種々の信号処理機能を実現するが、プラズモンを介在させることによってそれらの信号処理を実現する際の量子効率 (エネルギー効率) を2桁以上も格段に向上させることができる。また、プラズモンは電子集団の流体的な振動量子であるがゆえに、電磁波との応答は極めて非線形性が強く、高速高感度な電磁波検出や直流電力を高周波電力に変換する超高周波発振を将来できるという特色も有している。以上の特色から、半導体二次元プラズモンのテラヘルツ波機能応用の研究が進展している。  一方、対象とする電磁波の波長に比して十分に短い微細寸法で特定の材料をパタニングやドーピングすることによって幾何学的あるいは電気的に変調することによって、材料自身が有する物性値で決まる特性とは全く異なる電磁波に対する応答を得ることができる。ハリーポッターの透明マントや 光の波長よりはるかに小さいピンホールの穴をその光が完全に透過する現象などが好例である。材料本来の物性を超える特異な電磁波応答を果たす材料として、それらは“メタマテリアル”と称される。そして、このメタマテリアル構造によってプラズモンの応答に特異な電磁波応答を実現する材料はプラズモニックメタマテリアルと称され、テラヘルツギャップをブレークスルーする新たな材料デバイス技術として注目されている。本講演では、プラズモニック・メタマテリアルの基礎とテラヘルツ波領域への応用について、系統立てて、わかりやすく講義する。

  1. 序章
    1. 社会を取り巻く動向・技術的背景
    2. 超スマート社会実現へ向けた動向と技術的課題
  2. 半導体光電子物性の基礎
    1. 半導体物性の基礎 (電気的特性)
    2. 半導体物性の基礎 (光学的特性)
    3. 半導体物性の基礎 (プラズモンとは)
    4. 電磁メタマテリアル
  3. 化合物半導体量子井戸構造における二次元プラズモニックメタマテリアル
    1. 半導体量子井戸構造の基礎物性
    2. 二次元プラズモン物性の基礎
    3. 半導体プラズモニックメタマテリアルとそのテラヘルツ機能応用
  4. グラフェンにおける二次元プラズモニックメタマテリアル
    1. グラフェンの製法と評価法の基礎
    2. グラフェンの光電子プラズモニック物性の基礎
    3. グラフェンプラズモニックメタマテリアルとそのテラヘルツ機能応用
  5. テラヘルツプラズモニックメタマテリアルのレーザー・ディテクタへの応用例
    1. 化合物半導体ヘテロ接合材料系による光源・検出素子の開発例
    2. グラフェンを中心とする二次元ヘテロ接合材料系による光源・検出素子の開発例
    3. テラヘルツプラズモニックメタマテリアル研究開発の新潮流
  6. 今後の展望
    1. テラヘルツプラズモニックメタマテリアルの到達点とベンチマーク
    2. 今後の展望

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