あらゆる工業分野で、接着技術は様々な用途、場面で用いられており、現代において必要不可欠なものの一つとなっている。また、文字通りの接着はもちろん、メッキや塗膜などの膜形成も接着技術の応用であると言える。すなわち、材料特性や製品性能を左右するのが接着技術であり、接着技術を支配することはあらゆる分野の基盤であると言える。そして、その接着と表裏一体のものとして扱わなければならいのが剥離である。接着や剥離現象を制御するためには、その表面や界面の状態や構造・特性を把握することが必要不可欠であるが、その重要度にもかかわらず、表面や界面の真の姿を知ることは容易ではない。
本講演では、接着・剥離のメカニズムとその制御における表面・界面の真の姿を知るためのアプローチ法と分析、解析の方法を中心にして、事例も交えながら詳細に解説を行う。
- イントロ
- 接着に支配される現代技術
- 接着とは
- 接着と粘着
- 接着を生む力
- 接着を支配するもの
- 接着関与因子と評価法
- 接着・剥離分析の考え方
- 接着解析の分類
- 接着分析のパターン
- 接着過程の解析
- 剥離箇所の特定
- 剥離原因の分類
- 正常品分析の難しさ
- 表面とは
- 問題解決アプローチ
- 問題解決のアプローチ
- 剥離の観察
- 視る
- 剥離状態の解析
- 代表的要因別アプローチ
- 複合要因の分離
- 加速試験
- アプローチの例 (位置、サイズ)
- 樹脂/金属の接着
- 金属/樹脂の接着パターン
- 相互作用・反応の様式例
- 金属基材の前処理
- 接着不良要因
- ケーススタディー
- 不良解析
- 剥離解析ファーストステップ
- ファーストステップの観点
- 界面剥離の場合
- 界面剥離の場合
- 層内剥離の場合
- 接着不良の場合
- 不良対策
- 現実には
- メカニズム解明
- シランカップリング反応
- 代表的な処理方法と処理条件
- 条件と構造の多様性
- 基材表面の解析
- 反応の一般論
- 加水分解と自己縮合
- 複雑性
- 視るべきポイント
- 解析の難しさと障害
- シランカップリング反応の解析
- 基材表面の解析法
- 表面分析成功のキーポイント
- 接着剥離分析≒表面・界面分析
- 表面分析の心構え
- 試料の取り扱い
- 汚染の例 : 両面テープによる汚染
- 代表的分析手法の使用例
- X線光電子分光法による組成官能基評価 (XPS,ESCA)
- 表面組成の解析
- 表面化学構造の解析
- オージェ電子分光法による界面評価 (AES)
- AES測定例
- 界面拡散の分析
- TOF – SIMSによる表面化学構造評価
- FTIRによる硬化挙動の解析
- SEM、TEMによる界面の観察
- 多層構造膜とフィラーの観察
- 極薄積層膜の席層構造の観察
- 機能性積層膜の断面TEM観察
- 試料作製法の比較による影響の比較
- EPMAによる表面処理の評価
- 走査型プローブ顕微鏡による評価
- 観察例 (処理後表面)
- AFM位相モードによる硬化状態の観察
- ブレンドポリマーの分布像 (位相)
- µ – TAによる評価
- 接着 (剥離) 強度評価
- 接着界面の分析
- 界面評価の重要性と課題
- 接着界面の例
- 界面の分類
- 界面における課題
- 界面分析のフェーズ
- イオンエッチング法
- XPSによる深さ方向分析 (角度変化法)
- 角度変化ATR法
- 従来法と問題点
- 精密斜め切削法
- 新しいアプローチ
- 解析の実例
- PI/Cu/Si接着界面の解析
- 接着前処理層の深さ方向分析
- UV表面処理による構造変化の深さ方向解析
- UV照射によるオレフィンの構造変化
- XPSによる紫外線照射PIの解析
- 仮説思考による研究開発と問題解決
- まとめ (接着技術の一つの方向)
- 質疑応答