医薬品の有効性、安全性および品質の確保を目的として、米国行政府は、世界で最初にGMPを法制化している (1963年) 。治験薬GMPについてFDAは、「GMPは、人又は動物に投与される全てのDrug Productに適用されるものであって、いまだ研究過程にあるもの (治験薬) も含まれる。すなわち、開発過程で製造されるDrug Productが、充分に文書化され管理されることによって、後に行われる試験及び最終的には市販するために製造される製品の再現性を保証することは妥当なことである。」 (1978年) と明確に述べている。以来、治験薬に対しても医薬品GMPが適用されることになり、1991年「 (ヒトおよび動物用) 治験薬製造に関するガイドライン」により、我が国においても医薬品GMPを治験薬にそのまま適用するガイドラインが発出されるに至った。
他方、2021年8月1日「GMP省令改正」が施行され、日本の医薬品GMPはPIC/Sで合意されたGMPガイドラインとの一層の整合が図られることになった。
治験薬GMPについて、ICH Q9 – 10を基本とするリスクベースアプローチを踏まえた治験薬の品質同一貫性確保の観点から解説する。
- 治験薬とは
- はじめに
- 新薬の開発について
- 治験薬と医薬品との違いとGCPとの関係
- 治験薬GMP
- 治験薬と医薬品品質の品質同等性について
- WHO治験薬GMP改定ドラフト:
- COVID-19治療薬についての新しいガイドラインの必要性と重要性
- Quality Managementの導入及びQuality Risk Managementの導入
- 最近の新薬開発状況と日欧米における承認状況
- 新薬開発と承認システム
- 医薬品開発と治験薬 〜治験薬GMPの三極の相違〜
- 治験薬の3原則
- 治験薬GMPとGCPの位置づけ (日本、米国、EU)
- ICH Q7第19章「臨床試験に使用する原薬」
- PIC/Sおよび「PIC/S GMP Guide Annex13」
- 治験薬製造、品質管理上の留意点
- 目的と考え方及び治験薬の製造管理・品質管理
- 治験薬品質の一貫性確保と同等性
- 開発段階での変更管理
- 治験薬製造における留意点
- 治験薬のバリデーションとベリフィケーション
- 治験薬GMPのポイントと対応策
- 治験薬GMP組織と出荷判定について
- 自己点検及び教育訓練の必要性
- 治験薬の文書及び記録の管理
- 治験薬受託製造の留意点
- 治験薬製造設備の適格性評価
- 治験薬製造設備の洗浄バリデーション
- 治験薬GMPに関するQ&A
- 生データ、実験ノート管理の留意点
- 治験薬のGDP (Good Distribution Practice) について
- 適切な温度・湿度管理、輸送クオリフィケーション、振動・衝撃リスク回避
- ICH Q12 医薬品のライフサイクルマネジメント
- まとめ (PQS)
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