核磁気共鳴法 (NMR法) は、今日では誰でも名前は知っていますが、測定されたスペクトルから物性との関連性を議論する、官能基を帰属するという流れを系統的に学習する機会は、大学においても少なくなってきているように思います。そこで、本講演では、主に固体NMR法がもつ特徴を理解し、分子レベルの磁気共鳴現象と物性との関連性に関して、基礎から応用まで、測定についての注意点や解析方法について学ぶことを目的とします。
最初に、溶液1Hおよび13C NMR法の基礎原理と測定時の設定パラメータについて説明します。溶液NMRスペクトルの見方を理解し、帰属する簡単な流れについて説明した後、主に固体13C NMR法の基礎と測定法について講演します。溶液NMR法との違いと固体NMR法の特徴を理解し、固体NMRスペクトルの特徴や見方を学びます。応用面として、主に高分子材料の相溶性解析を中心としたモルフォロジー解析や、NMR法の特徴の1つである緩和時間から求める分子運動性解析について理解を深めていただきます。
- 溶液NMRの基礎と測定法
- NMRの原理、測定の基礎
- 核磁気共鳴の信号って何?
- チューニング、ロック、シム
- パルスの長さ、取り込み時間どうやって決める?
- FIDからスペクトルへ
- 化学シフトとスピン結合
- 試料調整の注意
- 溶液NMRスペクトルの帰属
- 固体高分解能13CNMR法の基礎、測定、特徴
- 溶液NMRとの違いって何?
- CPMAS?DPMAS?
- CPMASスペクトルを測定する
- チューニング、ロック、シム
- MAS角の調整
- oパルスとCPの調整
- CPの長さとMASの速さの設定とスペクトルに影響する数値
- 温度校正
- 緩和時間と1Hスピン拡散 (測定法と注意点)
- 固体NMRスペクトルの特徴と帰属
- 高分子・複合材料の解析例
- 高分子の溶液NMRスペクトル
- 高分子材料の固体13CNMR解析
- 相溶性解析
- 相溶性と分子運動、熱安定性、相互作用
- 結晶相のスペクトル分離
- 結晶相の構造変化、大きさ
- 結晶多形
- 静止状態とMAS状態の13CNMR解析
- 水溶性エポキシ樹脂の反応過程 (1HMASNMR)
- まとめ
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