2018年3月9日付けの薬生薬審発0309 第1号・薬生監麻発0309 第1号の“医薬品の品質に係る承認事項の変更に係る取扱い等について”で示された「製造販売承認申請書における規格及び試験方法欄の記載の合理化」及び、2019年9月12日付け厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課の事務連絡の“バイオ医薬品の規格及び試験方法欄の記載の合理化について”により「規格及び試験方法」の簡略記載が容認されている。また、海外CTD-M3を活用して申請される場合の「規格及び試験方法」では簡略記載を希望される場合も多いようである。
この背景には、当該医薬品のライフサイクル全体を考慮した医薬品販売会社の承認後の変更に伴う薬事手続き (一部変更承認申請及び軽微変更届出) の負担軽減があるようだが、承認審査時や承認前査察時だけの対応でなく、GQPの海外CMOでの変更管理の対応、特に製品標準書に添付する“申請書記載の試験方法 (簡略記載) ”と実際の品質管理部門が使用するSOPとの整合性 (同等性) の確認は必須作業であり、ほとんど軽減されない。
本セミナーでは、こうした品質システム面も含めて「規格及び試験方法」を簡略記載する場合の注意点を説明する。
日本での製造販売承認申請書における規格及び試験方法欄の記載は、日本薬局方の記載方法に準じて整備することが実質的に求められてきたが、ICH Q12「医薬品のライフサイクルマネジメントガイドライン」での承認後の変更に係る薬事手続きの必要性における様々な議論を踏まえて、日本薬局方に準じた記載よりも合理化できる方法 (合理化案) が示された。
ただ、簡略記載のガイドラインには、一部変更承認申請及び軽微変更届出の対象事項に関して言及しないとも明記されており、また、CTDのM2及びM3には、審査担当者が試験実施手順の概要等、試験方法の適切性を判断するために必要な程度の詳細さで試験方法が記述されることを前提とするとの記載もある。
これら、審査当局の考える試験方法の品質を保証できる試験方法の記載範囲と製造販売承認申請者の将来 (承認後) の薬事手続きの負担の軽減の両面を理解した上で、承認書に明記される簡略記載の規格及び試験方法に対して実際の品質部門でGMP登録されている試験方法の標準作業手順書 (SOP) を適切に整備する必要性並びに医薬品のライフサイクルにおけるSOPの変更に伴う変更管理手順 (CMOマネージメント・コミュニケーション) の重要性が把握できるであろう。
- 海外CTD-M3を活用する場合のCTD-M2の「規格及び試験方法」のまとめ方
- 提示した分析法バリデーションで使用された試験方法 (SOP) との関係性
- 簡略記載の必要性 (申請者側) と記載の合理化の許容範囲 (審査側)
- 承認後の試験法変更に伴う分析法バリデーションの再実施の必要性
- 承認後の試験法変更に伴う変更管理 (GQP及びCMO) と薬事手続きの判断
- 日本薬局方に準じた記載と簡略記載の選択
- 海外CTD-M3が欧米の局方の試験方法に準じた記載のケース
- 海外CTD-M3が品質部門のSOPを提示又は操作方法を引用した記載のケース
- 当局査察時の承認書とSOPとの齟齬問題
- 簡略記載例の解説:日本薬局方に準じた記載との比較 (合理化された部分)
- 日本薬局方に準じた記載とSOPに記載される試験方法の違い
〜合理化した記載で薬事手続きの負担は軽減されるのか〜
- 化学合成医薬品でのHPLC法
- 原薬の純度試験:オフロキサシン
- 原薬の純度試験:アムホテリシンB
- 製剤の定量法:エストリオール錠
- バイオ医薬品原薬
- 示性値・糖鎖プロファイル
- 力価試験・比活性:セルベースドアッセイ
- 規格及び試験方法に対する品質システムでの考慮すべき要点
- 当局査察時の説明
- 製品標準書における承認書とSOPとの同等性の説明
- GMP登録されたSOPと分析法バリデーション (計画書・報告書) の関係
- 試験方法の変更に際して適宜実施される変更管理 (CMOマネージメント)
- ICH-Q12:分析法の変更に対する体系的なアプローチ
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