光分解性材料の基礎と光安定性との両立技術および応用展開

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本セミナーでは、外部刺激応答性高分子材料について基礎から解説し、被覆型白金アセチリド錯体の代わりに非金属のピレニルケイ素架橋剤を用いた場合も二刺激協同的な光加工性を示すこと、ポリマー鎖中にカルボキシル基を導入することで酸添加なく光加工できること、光分解性接着剤や生分解性材料への応用等、最新の研究動向についても紹介いたします。

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プログラム

光照射によって軟化や液化といった性質変化を示す光加工性ゲル材料は、リソグラフィー材料やドラッグデリバリー材料への応用が可能であるため注目を集めている。しかし、このような光加工性材料は、環境光の照射によっても徐々に劣化し得るため、環境光下では利用できないという障害を有していた。従って、光加工性と光安定性を両立する新しい材料設計指針が求められている。  上述した問題の解決策として本研究では、添加剤によって光安定性材料が光加工性材料に切替わるような材料を着想した。このような特徴を有する材料は、光加工後に添加剤を除去することで、光照射下においても安定に利用可能である。これまで我々は、環状分子である完全メチル化α-シクロデキストリン (PM α-CD) によって機能性分子を被覆することで分子間相互作用を抑制し、様々な機能性が向上される系を見出してきた。なかでも、被覆型白金アセチリド錯体は、光 (UV, 365 nm) に安定でありながらも、酸 (HCl) の添加時には光分解することが明らかとなっている。よって、この錯体を架橋剤として高分子ネットワーク中へ導入することで、得られる材料は光安定性を有する一方、酸の添加時のみ光加工性を示すと考えた。このような二刺激協同的な光加工性材料は例がなく、新しい光加工性材料として位置づけられる。  本講演では被覆型白金アセチリド錯体の代わりに非金属のピレニルケイ素架橋剤を用いた場合も同様の二刺激協同的な光加工性を示すこと、ポリマー鎖中にカルボキシル基を導入することで酸添加なく光加工できること、光分解性接着剤や生分解性材料への応用等、最新の研究動向についても紹介する。

  1. 緒言
  2. 外部刺激応答性高分子材料
    1. 刺激応答性高分子材料の歴史
    2. 分解性ポリマーの歴史
    3. 外部刺激としての光
    4. 光応答性ポリマー
      1. 光による局所的な硬さの制御
      2. 光による局所的な形状の制御
      3. 光による局所的な流動性の制御
    5. 高分子材料に分解性を付与する方法
      1. 主鎖導入法
      2. 架橋導入法
    6. 光分解性架橋剤
      1. 可逆型
      2. 不可逆型
    7. 光分解性分子や光分解性反応の問題点
    8. デュアルトリガー光分解性ポリマー
    9. デュアルトリガー光分解性ゲル
      1. 論理ゲート式解架橋反応
      2. 複数刺激を活用する新しい解架橋反応
    10. デュアルトリガー光分解性ポリマーの未解決の問題
    11. 本研究の研究戦略
      1. 光と添加物が協同的に分解する材料の開発
      2. 添加物の存在に応じて構造が異性化し、光分解性状態となる材料の開発
  3. 白金-アセチリド複合体によって架橋された化学ゲルの調製方法
  4. ゲルの機械的および分光学的特性に対する白金-アセチル化架橋剤の絶縁効果
  5. 白金-アセチリド架橋剤を組み込んだゲルの光安定性と光加工性および周囲光下での光学機能の評価
  6. 白金-アセチリド架橋剤の光重合および光分解による光硬化性および光分解性接着剤
  7. クマリン部分の分光特性に対する絶縁効果の系統的調査
  8. クマリン架橋剤の包接反応とゲル中の光分解性の切り替え
    1. 超分子構造を有る架橋剤を用いる光安定性材料の光加工技術について
    2. 酸と光の同時刺激により分解する光加工材料
  9. 酸誘起光分解性白金-アセチリド架橋剤を用いた光重合による光処理可能な材料の作製
  10. Siピレン架橋ポリマー
    1. ジピレニルケイ素を利用した光加工性がスイッチング可能なポリマーネットワーク材料の創製
    2. Siピレン架橋アクリル酸ポリマー

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