第1部 音響メタマテリアルの基礎と課題・展望と応用事例
(2023年3月9日 10:00〜11:30)
音響メタマテリアルは、従来材料には実現不可能な特性を持たせるためのdesigned materialである。2000年頃から研究開発が開始され、最近では、自動車メーカーなどで実用化研究が進められている。そのデザインの基本原理は多様性に富み、応用可能性は未知である。
本講演では、これまでに考えられている音響メタマテリアルの基本原理そして、これまでの研究開発の経緯をご紹介する。
- メタマテリアルとは何か?
- 透明マント
- スーパーレンズ
- 電磁メタマテリアル
- 音響メタマテリアル
- 流体メタマテリアル
- 音響透過の問題
- 音響透過の基礎知識
- 航空宇宙分野における音響問題
- 音響メタマテリアルの研究事例
- まとめ
第2部 音響メタマテリアルシートの開発と遮音・制振材への応用展開
(2023年3月9日 12:10〜13:40)
材料の遮音性能は面密度や周波数によって決まる質量則に従うことが知られ、一般に軽量な遮音材料は特に低周波数域で性能が低い課題がある。近年、共鳴・共振を生じる構造体が多数集積した音響メタマテリアルが登場し、質量則を凌駕する新材料として注目されている。
本講演では、一般的な遮音材料や音響メタマテリアルの遮音特性の基礎を解説するとともに、実用的なシート材として独自開発した2種類の音響メタマテリアルシートを具体例に音響メタマテリアルの設計、解析、および遮音・制振材としての応用について紹介する。
- 一般材料の遮音特性
- 質量則
- 遮音特性の評価方法
- 音響メタマテリアル
- メタマテリアルとは
- 音響メタマテリアルの遮音特性
- 音響メタマテリアルシートの紹介
- 音響メタマテリアルシートの特徴と機能
- 音響メタマテリアルシートの遮音メカニズム
- 音響メタマテリアルシートの応用事例
- 金属とゴムで構成されたシートの遮音・制振応用
- 樹脂のみで構成されたシートの遮音応用
第3部 音波を反射する方向を制御する音響メタマテリアルの設計と評価
(2023年3月9日 13:50〜15:20)
- 最適化技術を用いた音響メタマテリアルの設計手法
- 音響メタマテリアルの音響性能の評価方法
- 音響メタマテリアル形状のパラメータ表記
- 音響インテンシティを目的関数とした最適化
- 音響インテンシティ
- 目的関数の定式化
- 形状パラメータの最適化
- 音響ダクトの設計事例1
- 計算例・計算結果
- 広帯域での音響特性
- 反射音の偏向メカニズムの分析
第4部 気は通して音を防ぐ音響メタマテリアル遮音構造の開発
(2023年3月9日 15:30〜16:30)
軽量かつ小型の構造で騒音を防ぐことは様々な分野で求められるが、通常の遮音材は質量則に従うため、低周波音ほど重く大きな構造が必要となる課題がある。近年、膜型音響メタマテリアル構造が数100 Hzの低周波数帯において質量則を大きく超える遮音効果を示すことが報告され、軽量小型の遮音構造として注目を集めている。
我々は、貫通孔をあけた薄い振動膜を単位構造とする音響メタマテリアルを、新規低周波騒音制御デバイスとして提案した。空気を通す貫通孔を形成したにも関わらず、低周波域において孔の無い構造より遮音性能が向上し、質量則を超える遮音性能を示す。発表では遮音特性の制御方法と、遮音の物理的なメカニズムも説明する。
- 背景
- 課題背景:騒音を取り巻く変化
- 低周波遮音について
- メタマテリアルとは
- メタマテリアルの機能的定義
- 音響メタマテリアル
- メタマテリアルの構造的定義
- メタマテリアルのトレンド
- 音響メタマテリアルの実用的意義
- 貫通孔のある膜型音響メタマテリアル
- 先行研究:錘付き膜型音響メタマテリアル
- 作製方法の比較
- 貫通孔のある膜型音響メタマテリアルの構造と作製手法
- 遮蔽性能と周波数調整手法
- シミュレーション設計
- 遮音メカニズム:マクロモデル
- 遮音メカニズム:ミクロモデルと実証
- まとめと展望
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