本セミナーでは、極小側のフィラー (ナノ分散技術) から極大側のフィラー (長繊維分散技術) の分散技術について、解説いたします。
プラスチック材料の多くは、初期の混練工程でプラスチック材料と粒子や繊維であるフィラーと混練・混合されペレット化される。ペレットは、その後の射出成形工程により製品となる。この際、最も重要な要素技術がフィラー分散である。分散の良し悪しにより製品品質が決定されると言っても過言ではない。近年は、プラスチック材料の高機能化のニーズにより、この分散技術が複雑・多様化し、装置の最適化に困難を極める。 本講座では、最初に混練押出機の変遷を通じて、現在の数種の異なる混練装置に至った経緯を解説し、装置の違いによる分散技術について説明する。そして樹脂流動シミュレーション技術についても、その有効性について例を挙げて説明する。次に極小側のフィラーであるナノ粒子分散技術であるナノコンポジットの動向について、最近の自身の研究内容を加えながら解説する。一方、極大側のフィラーとして長繊維分散技術を取り上げる。長繊維強化熱可塑性樹脂複合材料 (LFT) の原料である長繊維ペレットの特長と製造装置について解説し、長繊維化のための射出成形機の研究動向と、現在自身が研究している射出成形機のスクリュ形状について、シミュレーション技術を適用して最適化した研究について説明する。