材料設計の目標は、高分子でもセラミックスでも機能を高いロバストで実現することにあり、これは新材料開発でも同様である。
しかし、20世紀においてその方法論は様々だったが、21世紀DXの進展により、データを中心とした手法に収斂してきたかのような錯覚に陥る。データサイエンスへの関心が高まり、マテリアルインフォマティクス (MI) の流行へと時代は移ってきたが、設計や開発で遭遇する難解な問題とは、いつの時代でも回帰による予測やクラス分類、クラスタリングといった不易流行の分野である。
これらの分野で活用されることを想定し、1970年代に新QC7つ道具の一つとして重回帰分析や主成分分析等の多変量解析が採用された。しかし、当時は大型コンピューターの時代であり、それらを使用しての問題解決にはコストがかかった。
一方、ディープラーニングの起源となるアルゴリズム、パーセプトロンが1957年に考案され、それがMIの基礎となっている。これこそ材料分野で起きているDXと短絡的に考えてはいけない。環境問題のGXで高分子材料の問題は、トランスフォーメーションどころかRefuse (脱高分子) とRenewableのカオス状態であり、MIで一気に問題解決が進むとは思えない状況である。
40年以上前に新QC7つ道具として多変量解析に出会ってから今日のMIまで、データサイエンスについて応用研究をしてきた経験から、温故知新の視点で今回の重回帰分析と主成分分析を中心としたセミナーを企画した。新QC7つ道具として発表された当時はコストのかかる手法だったが、DXの進展により無料で解析できる時代になった。しかもMIのように多量のデータも必要としない。それ以上に、人間の手による重回帰分析と主成分分析では、成果というゴールを見ながら問題解決できる長所がある。重回帰分析と主成分分析についてコストを気にせず手軽に使って成果を出す、これこそDXの恩恵である。さらにMIよりも簡便に、回帰による予測やクラス分類、クラスタリングといった不易流行問題を解決できるのは魅力的である。
- 多変量解析の基本的な考え方
- データサイエンスと問題解決法
- トランスサイエンス
- iPS細胞ヤマナカファクターの問題解決法
- コンピューターと問題解決法
- データ駆動による問題解決法
- タグチメソッド
- 高分子材料開発で忘れてはいけないこと
- 統計手法の復習
- 相関
- AIと統計
- 重回帰分析
- 主成分分析
- 無料で簡単に多変量解析する方法
- 無料公開ソフトウェアーの使用法
- MS-Excelを使う重回帰分析
- MS-Excelを使う主成分分析
- Pythonで多変量解析
- 重回帰分析の活用事例
- 重回帰分析を用いる問題解決法
- 事例:ポリウレタン発泡体の難燃化技術
- 事例:樹脂の劣化寿命予測法
- 主成分分析の活用事例
- 主成分分析を用いる問題解決法
- 事例:電気粘性流体の耐久性問題
- 事例:難燃性PC/ABSの工程問題
- まとめと参考情報
- PythonやAIが材料技術開発に導入される背景と知識獲得法
- 多数のMS-Excelファイルからデータを吸い上げる。
- DXやGXが材料技術開発に及ぼした影響
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