第1部 高電圧電動化モータの絶縁劣化、破壊現象と評価技術
(12:40〜14:40)
カーボンニュートラル社会の構築に向け、幅広い産業分野において電動化が叫ばれ、世界中でガソリン車から電気自動車 (EV) へのシフトが急加速している。高電圧EVモータを駆動するインバータ電源に使用されるパワーモジュールは、バッテリー消費の高効率化を目標に高電圧化、大電流化及び高速スイッチング化が進められ、それと同時に熱冷却技術が要請されている。そのような電動化システムの高機能化における最大の技術課題は、インバータからの高繰り返しサージインパルス電圧伝搬によるモータ内で発生する部分放電による絶縁破壊トラブルである。高電圧・高周波化・熱対策として、使用環境での部分放電フリー実現のための高電圧絶縁設計と評価試験の標準化が最大のコア技術課題である。
本講演では、EVモータ、パワーモジュールと樹脂絶縁材料の放電・絶縁技術の基礎から応用まで詳しく解説する。
- 高電圧電動化の技術動向と課題
- EVモータの高電圧化に向けた絶縁技術動向と課題
- 次世代パワーモジュールの高速スイッチング化による絶縁技術課題
- 高圧絶縁材料の高耐熱性、高熱伝導化に向けた技術開発
- 部分放電と絶縁劣化・破壊メカニズムの基礎と理解のポイント
- 絶縁破壊の前駆現象である部分放電とは何か?
- 高電圧化すると部分放電が発生し易くなるのはなぜか?
- 部分放電が発生する電圧 (PDIV) を計測すると大きくばらつくのはなぜか?
- 各環境要因 (温度、湿度、気圧) が影響する部分放電の発生メカニズムとは?
- どこで発生するのか? 絶縁弱点部位を重点対策する
- 樹脂絶縁材料の熱的、電気的絶縁劣化メカニズムとは?
- インパルス電圧の評価試験の必要性、従来の交流電圧との違いは何か?
- 部分放電発生の理論予測と寿命予測
- インパルス部分放電の計測方法と電源・計測器
- 微弱なインパルス部分放電の計測のポイント
- インパルス電源の電圧波形と印加方法
- インパルス部分放電センサーと信号波形
- センサー感度とノイズ、閾値と部分放電フリー判定条件
- 電動化モータのインパルス絶縁評価試験の具体例
- モータ内部におけるサージ電圧の伝搬特性
- インパルス試験電圧波形とモータ結線方法
- 国際規格 (IEC) による評価方法
- 各インパルス電圧波形に対するPDIV特性
- PDIV特性の環境依存性
- 回路基板とモータ巻線の評価方法
- 回路基板の部分放電計測と高周波特性
- モータ巻線の厚肉化、低誘電率化及びナノコンポジット化の技術
- EV用平角巻線の高温下での部分放電計測
- ナノコンポジット巻線の優れた耐サージ特性による高寿命化
- まとめと今後の課題
第2部 HEV駆動モータ向け高絶縁・高耐熱マグネットワイヤの絶縁皮膜
(14:50〜15:50)
ポリイミド樹脂を多孔質化することで、250°C以上の耐熱性と比誘電率2.4の高い絶縁性を両立した駆動モータ向けの絶縁皮膜を開発した。開発した技術は新型FIT/VEZELのハイブリッド車に適用されている。今回、電動駆動モータにおける絶縁皮膜設計の考え方と多孔質皮膜を量産適用するための最適設計について講演する。
- モータとマグネットワイヤの概要
- モータの種類と特徴
- マグネットワイヤの種類
- マグネットワイヤにおける絶縁皮膜の種類
- 開発モータの特徴と製造工程
- 駆動モータにおけるマグネットワイヤ
- 駆動モータの環境
- マグネットワイヤへの要求特性
- 絶縁皮膜設計の考え方
- 主な絶縁皮膜の絶縁性と耐熱性
- 絶縁性と耐熱性を両立したマグネットワイヤの開発
- 絶縁皮膜の低誘電率化手法
- 多孔質皮膜の量産化おける課題
- 多孔質皮膜の形成手法
- 量産化のための多孔質皮膜の最適設計
- 多孔質皮膜の絶縁特性
- 多孔質皮膜の適用効果・価値
- まとめと今後の展望
第3部 車載主機モーター、バスバー絶縁用粉体塗料の特性と適用
(16:00〜17:00)
昨今、世界的な規模で自動車の電動化が急速に進む中、EV・HVなどに搭載される主機モーター (駆動用モーター) ・バッテリー・制御周りなどの車載電材について、高出力化および高効率化の取り組みが精力的に続けられている。本講では、平角線モーター・大電流バスバーなど新たな展開を見せている車載電材に最適な粉体塗料による絶縁技術を紹介する。
- 粉体塗料の概要・特徴
- エポキシ系粉体塗料の塗膜性能
- 車載電材への適用例
- 主機モーター
- バスバー
- サステナブル社会への提言
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