第1部 医療用高分子の基礎・生体親和性の発現機構と表面設計・評価
(2023年2月6日 10:30〜13:40)
ヘルスケア・医療分野は我が国の成長戦略にも位置付けられ、国際競争力のある製品開発への取り組みが期待されている。高齢社会でニーズの大きいヘルスケア・医療製品には、生体安全性および生体親和性が必要である。また、より価値の高い医療製品の開発には多様な機能を有する材料が市場から求められている。
本講座では、各種医療機器の表面処理材として製品化した高分子材料を事例に、生体親和性発現機構や開発の技術課題、予防、診断、治療、病後の管理を支える生体親和性高分子表面・界面の設計と優れた材料のスクリーニング方法について解説する。
- 医療製品用の合成高分子材料
- 親水性高分子
- 相分離型高分子
- 双性イオン型高分子
- 表面微細加工化高分子
- 製品化されている高分子の特長と課題
- タンパク質吸着の評価
- タンパク質の吸着量
- 吸着タンパク質の組成と構造
- タンパク質の吸着と脱離の速度論解析
- 細胞接着の評価
- 細胞 の接着と生体親和性
- 細胞接着の機構と細胞接着選択性
- 細胞 – 材料間相互作用の解析と制御
- 生体親和性の発現機構と表面設計
- 高分子材料のバルク物性
- 高分子材料の表面物性 (最表面計測の重要性)
- 水環境下および生理環境下におけるバイオ界面 (構造と運動性)
- 高分子バイオマテリアルの分子設計の最新動向
- 天然高分子と生体親和性合成高分子の共通点と相違点
- 生体親和性と生分解性を併せ持つ高分子の設計
- 優れた材料の簡便なスクリーニング方法
- 次世代医療・ヘルスケア・環境・エネルギー分野への展望
第2部 求められる無機系生体材料の表面特性とその処理法
(2023年2月6日 13:50〜16:30)
無機系生体材料の生体適合性向上のための表面処理技術 (主として水溶液プロセス) 、さらに生体材料としてのin vitroならびにin vivo評価法についても実験結果を基に概説する。最新の研究結果に基づいて、従来の表面処理法や評価法を振り返り、従来の研究における思い込み、迷信、拡大解釈による誤解を理解する。
また、発想の転換により、生体材料表面の親水性・疎水性の相違による生体適合性、タンパク質吸着性や細胞接着性の変化についても説明し、素材にとらわれない、これからの新しい生体材料開発の進むべき方向について解説する。
- イントロダクション
- コーティング技術と皮膜特性 (HApコーティングを例として)
- 生体材料としての評価
- その評価法で正しく生体適合性を評価できているか?
- TiO2コーティング (ドライ、ウェット)
- コーティング技術と皮膜特性
- 生体適合性に影響をおよぼす因子 (in vivo)
- 生体適合性物質は存在するのか?
- 生体適合性材料の表面はどうあるべきか?
- その生体材料は本当に生体に適合しているのか?
- 化学的材料表面特性と生体適合性 (金属、セラミックス)
- 表面にコーティング層を形成せずとも親水化・疎水化が可能か?
- 材料表面の親水性、疎水性は何で決まるか?
- 金属、セラミックス、ポリマー表面の親水化・疎水化
- 表面親水性は維持できるか?
- 親水性・疎水性表面インプラントの生体適合性
- 材料の生体適合性とタンパク質吸着性、細胞接着性
- 親水性表面・疎水性表面とタンパク質吸着性、細胞接着性
- 細胞接着性タンパク質と細胞非接着性タンパク質
- タンパク質吸着インプラント製造プロセスと生体適合性
- 材料の生体適合性は何によって決まるのか?
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