第1部 水素キャリアとしてのアンモニア利用技術とその現状
(2023年2月9日 10:30〜12:00)
水素キャリアあるいは代替燃料としてのアンモニア利用のアイデアは80年以上も議論されてきましたが、毒性と悪臭のために炭化水素系燃料の改質に比べて注目されませんでした。これらの欠点にもかかわらず、アンモニアは取り出せる単位質量あたりの水素量が大きく、魅力的な水素供給源です。アンモニアは、安全管理と小型貯蔵容器の設計を行えば、定置用のみならず、車両用 (内燃機関および燃料電池) のエネルギー源となる可能性があります。アンモニアからの水素生成はメタノールと同等のエネルギー密度とエネルギーコストを示しており、水素生成時にはCO2を排出しないというメリットがあります。
本講演ではアンモニアを定置用および車両用の燃料として使用するための技術を解説します。
- 液体アンモニアの形で再生可能エネルギーを輸送するための可能な経路
- 燃料電池車両で使用する高純度水素の製造
- 燃料電池を介した定置用途向けのアンモニア利用
- 低温型燃料電池を介した定置用途向けのアンモニア利用
- 高温型燃料電池を介した定置用途向けのアンモニア利用
- タービンまたは改良された内燃機関でのアンモニア燃焼
- 燃料としてのアンモニアの導入
- 燃料としてのアンモニアの特徴
- アンモニア燃焼の利用技術
- アンモニア・水素混焼エンジンシステム
- アンモニア分解・燃料電池車両システム
- エクセルギー解析を用いた燃料の検討
- 燃料のエクセルギー
- アンモニア燃料電池のエクセルギー解析
第2部 アンモニアからの水素製造およびアンモニア燃料電池における触媒開発
(2023年2月9日 13:00〜14:30)
アンモニアは触媒を利用して分解され、生成した水素が燃料電池などの発電デバイスの燃料として使用されることが想定されている。一方で、アンモニアを直接燃料電池に供給し発電する試みもなされている。
本セミナーでは、アンモニア分解の反応機構や触媒材料について解説する。また、アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池およびその燃料極についても概説する。
- アンモニアの燃料としての利用
- 燃料電池のための水素製造方法
- アンモニアの燃料電池への供給方法
- アンモニア分解反応
- 反応速度解析に基づいた反応機構
- 計算科学に基づいた反応機構
- アンモニア分解の活性種
- アンモニア分解におけるRu触媒
- Ru系触媒の担体材料
- Ru系触媒の添加成分
- アンモニア分解におけるNi触媒
- Ni系触媒の担体材料
- Ni系触媒の添加成分
- アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池 (SOFC)
- SOFCの燃料極におけるアンモニア分解
- まとめ
第3部 非貴金属触媒を使ったアンモニア電解
(2023年2月9日 14:45〜16:15)
水素社会実現のためには、グリーンな方法によって製造した水素を効率的かつ安全に貯蔵・輸送するという課題をクリアしなければならない。アンモニアはこの課題を解決する有力な水素キャリアであるが、アンモニアを窒素と水素に分解することは容易ではなく、効率やコストを考えながら、規模に応じた様々な選択肢を提示する必要がある。
本講演では、常温・水系でのアンモニアの電気分解に着目し、白金触媒系でのメカニズム研究を概説した後、非貴金属触媒を使った最近の研究を紹介する。最後に演者自身のニッケル-銅イオン複合化触媒を用いた高選択的アンモニア-窒素変換について述べる。
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