本講座では、一部のデータが観測されないときでも統計学的に妥当な解析を行うことのできる多重代入法について解説する。具体的には、欠測データの何が問題か、欠測のメカニズムとは何かといった基本的事項について解説した後、単一代入法のメカニズムと欠点を解説する。その後、多重代入法の理論的メカニズムについて、数値例を示しながら具体的に解説し、3つの多重代入法アルゴリズムのメカニズムと長所・短所について解説する。最後に、統計環境Rを用いて、実際に欠測データを多重代入法によって処理して解析する具体的な例についても扱う。