2021年はコロナ特需により世界半導体市場が急拡大した。しかし、その特需は2022年初旬に終焉し、一転して半導体業界は深刻な不況に突入した。その半導体不況はリーマン・ショック級かそれ以上に酷くなる可能性がある (ただしクルマ用半導体不足は今後も絶望的な状態が続く) 。また、米国は自国の半導体製造を強化するための法律「CHIPS法」を成立させるとともに、中国への規制を厳格化した。米国は、中国へ先端半導体を輸出できない上に、装置も輸出できず、そのサポートも禁止されたため、中国の半導体工場は稼働が困難になる。これは、米国が中国に向けて (目に見えない) 弾道ミサイルを発射したにも等しい規制であり、それによって中国が台湾に軍事侵攻する「台湾有事」がヒリヒリと現実味を帯びてきている。もし中国が台湾を占領し、TSMCを支配下に置いたら、世界の半導体勢力図は激変する。
本セミナーでは、予想以上に深刻な半導体不況と米国による中国への規制厳格化の悪影響について警告するとともに、どのような対策が必要になるかを考察する。加えて、11月10日に報道された半導体の新会社ラピダスについて2027年に2nmの量産が可能か否かなどを説明する。その上で、何が起きようとも、長期的に見れば世界半導体産業は成長すること、半導体の微細化は少なくとも2035年まで続くこと、ムーアの法則は2040年まで終焉することがない展望を論じる。
- はじめに
- 自己紹介
- 本セミナーの概要と結論
- コロナ特需の終焉とリーマン・ショック級の半導体不況
- コロナ特需とその終焉
- 世界半導体市場の出荷額と出荷個数の分析
- 地域別の半導体出荷額に現れた異変 (中国市場の急減速)
- プロセッサ、メモリ、ロジック、アナログの出荷個数と出荷額の分析
- DRAMとNANDの出荷額、出荷個数、価格からみたメモリ不況の酷さ
- リーマン・ショック級のメモリ不況の影にIntelの不調アリ
- クルマ用半導体不足は今後も絶望的な状況が続く
- 米国による中国への規制強化の悪影響
- 米CHIPS法の成立とその悪影響
- 米国の装置メーカーの中国への輸出規制の悪影響
- EUVだけでなくArF液浸も輸出規制の対象に?
- EDAツールメーカーの中国へのソフトの輸出禁止の悪影響
- NVIDIAのGPUとAMDのCPUの中国への輸出規制の悪影響
- 米国が中国への規制を強化する理由
- 米国による中国への規制強化は (見えない) 弾道ミサイルを発射したも同然
- ヒリヒリと現実味を帯びてきた台湾有事の危険性
- トリガーを引いたのはペロシ米下院議長の訪台
- 反発した中国は台湾周辺に弾道ミサイルを発射
- もし中国が台湾を占領したら世界の半導体勢力図はどうなるか?
- 米国は米台日韓による半導体同盟「CHIP4」結成で中国に対抗
- 台湾有事は「起こる」前提で対策を考えておくべき
- 半導体の新会社ラピダスについて (11/17追加)
- 2027年に2nmのロジック半導体を量産すると発表したラピダス
- 優秀な技術者をどうやって集めるのか
- EUVの入手が数年先になる上、High NAが必要になる
- EUVを立ち上げるのも相当難しい (TSMC、Samsung、Intelの実態)
- そもそも2nmで何用の半導体をつくるのか
- 最先端プロセスを開発することがFoundryの役目ではない
- まとめと今後の展望
- 深刻な半導体不況、米国による中国への規制厳格化、台湾有事への警告
- 何が起きても長期的に見れば世界半導体産業は成長する
- 半導体の微細化は少なくとも2035年まで続く
- ムーアの法則は2040年まで終焉することは無い
- 最終結論
ご案内
激動の世界半導体業界を展望する、湯之上氏による「半導体関連企業の羅針盤シリーズ」講演は、半導体業界やイノベーションについて、材料・技術・市場の動向や今後などを、その時のトレンドに合わせた最新情報を交えて半日で俯瞰・展望し、半導体デバイス、装置、部材、設備、材料、セットメーカーなどの半導体関連企業が生き残る・勝ち残るために必要な情報を提供し、好評を博している。
2022年12月版では、直近のデータ分析から導き出したリーマン・ショック級と予測される半導体不況、一方で続くクルマ用半導体不足、そして目前に迫る危機、米CHIPS法、中国への規制強化、台湾有事に警鐘を鳴らす。
また、急遽ラピダスについても講演内容に追加いたしました。新たに報じられる情報など、その時々のホットトピックスを加味し、より深刻・重大な内容に講演内容を変更する可能性がございますので、予めご了承ください。
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