機械学習のプログラミング言語としてPythonが注目されている。Pythonはスクリプト言語であるが、その登場から今日までの30年近い年月の間にAI関係のライブラリーやモジュールが多数公開され、これらの資産とプログラミング言語としての使いやすさから一気にこの分野のプログラミング言語としての地位を獲得した。
しかし、Pythonにも泣き所があり、モジュールを使わなければ、内部でバイナリーによる計算が行われるゆえに誤差を無視できなくなる場合がある。このため数値計算や各種シミュレーションで他の言語が使われる原因となっているが、専用のモジュールを用いれば問題解決できるので、スクリプト言語としての学習容易性から従来敬遠されていた分野にも今後オブジェクト指向プログラミング言語として普及する可能性が高い。
本セミナーでは、微粒子分散系材料開発で避けて通れないパーコレーション転移の問題について、独自のシミュレーションプログラムにより問題解決した二つの事例を扱い、データサイエンス時代の配合設計方法論について解説する。この方法論では、AIによる配合設計のアイデアにつながる考え方が展開される。
シミュレーションによる考察から、パーコレーション転移の起きにくい塗布の配合系を設計しなおし、見捨てられていた1960年公開の特許技術を実用化している。この技術開発資産のシミュレーターを用い、半導体無端ベルトの押出成形を実用化している。シミュレーションでデータマイニングを行い、導き出したWパーコレーション転移のコンセプトで外部コンパウンダーの配合を変更せず、独自のプロセス設計による新たな押出成形用コンパウンドを半年で開発、実用化している。短期開発を可能としたのはコンピューター実験に用いたモデルで現象を見える化できたためである。
この二つの事例で用いたシミュレーターのエンジン部分について、今回Pythonで書き直したので、本セミナー参加者にはこのエンジン部分のプログラムを配布するとともに、そのプログラミング過程も公開する。ゆえにプログラミング初心者には、Pythonによる機械学習への橋渡し役となる内容である。
- データサイエンス時代の配合設計技術
- 科学と技術、トランスサイエンス
- コンピューターを活用した材料開発の可能性
- シミュレーションによる問題解決技法
- フィルムの帯電防止層の問題解決事例
- 何が問題だったのか
- シミュレーションによる問題解決
(パーコレーション転移シミュレーション)
- 数値シミュレーションとコンピューターモデル実験
- パーコレーション転移と電気特性
- エクセルによるインピーダンスシミュレーション
- 配合設計にどのように活用されたのか。
- 配合設計によるパーコレーション転移制御
- 評価技術の重要性
- 押出成形による半導体無端ベルトの問題解決事例
- パーコレーション転移を無視した材料設計
- パーコレーション転移の安定化材料設計
- コンパウンドのプロセシング開発
- 成形体と相関するコンパウンドの評価技術
- Wパーコレーションを実現する2つの方法
- Pythonによるパーコレーション転移シミュレーター
- プログラミング言語概論
- コンピューターの仕組みとプログラミング言語
- プログラミング言語の歴史概略
- オブジェクト指向概論
- Python概論
- 変数と組み込み型
- 計算値の精度
- 条件分岐とループ
- 関数
- ファイル処理
- パーコレーション転移シミュレーター解説
- まとめ
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