2016年に開かれた通称「ダボス会議」では、「2050年には海の中のプラスチックの重量が魚の重量を越える」という衝撃の予測が提示され、プラスチックスとゴムの廃材で起きている環境問題が世界中でクローズアップされた。そして、3RにRefuseを加えた4Rが合言葉となった「脱プラスチック運動」が世界で起きた。国連が示したSDGsでも「廃棄物の発生防止と削減」が重点となっており、わが国でもレジ袋の有料化が普及し、エコバック携帯が日常となった。
ところで、2022年4月からわが国で施行されたプラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律では、4番目のRとして「Renewable」が提示され再資源化事業について定められた。すなわちRefuseからRenewableへゲームチェンジされたかのようである。
ただし、高分子材料の再資源化については、古くは1970年代起きたオイルショックにより自動車業界で一部検討された経緯があり、また最近では2010年ごろから事務機業界で環境対応樹脂の製品搭載が半ば義務化されたために、コスト対策としてリサイクル材導入が検討されるようになった。
例えば業界トップランナーのコニカミノルタでは、複合機の外装材及び内装材にリサイクルPETボトルの採用を積極的に進めてきて、現在では使用している高分子材料の半分以上がリサイクル材である。
本セミナーでは環境問題の変遷について高分子材料の視点でまとめるとともに、今後重要となる高分子再資源化技術を予測するとともに、リサイクル材導入にあたって必要となる知識について、難燃化技術と高分子の耐久性を中心に解説する。
- 世界が直面する危機と高分子材料
- 高分子材料の大半はゴミ。
- 海洋プラごみが決定づけたゴミ問題
- 先進国が輸出していたゴミ
- 再資源化の課題
- 環境問題の変遷
- 自動車業界の事例
- ごみ処理とサプライチェーン
- 世界動向と日本の事情、課題
- 高分子材料のRenewable
- 高分子材料とは
- 高分子材料のプロセシング
- 小型家電の回収から高分子再生材までのプロセス
- コンパウンディング技術の重要性
- 再生高分子材料の物性と評価技術
- 評価技術概論
- 事例:半導体ベルトのLCA
- 再生材の難燃化技術
- 難燃化技術概論
- 事例1:溶融型UL94-V2合格再生PET樹脂
- 事例2:炭化促進型UL94-5Vb合格再生PC/ABS
- 再生材の耐久性と劣化の考え方
- 高分子の再資源化と品質管理
- 各種環境規制について
- データサイエンスと信頼性工学の導入
- オイルリファイナリーからバイオリファイナリーへの転換と高分子の再資源化
- 概略動向
- ミドリムシプラスチック
- パルプ・樹脂複合材料
- サプライチェーンから見た高分子再生材の見直し
- ケミカルリサイクル
- まとめ
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