本セミナーでは、国内外における地熱発電を取り巻く最新動向と将来的な展望について解説いたします。
新型コロナウイルスの感染拡大を経て、ロシアのウクライナ侵攻による電力需給逼迫が世界において恒常化し、2023年冬の電力危機が現実味を帯びるなか、日本を含めた世界が2050年のカーボンニュートラルに向かう状況において、再生可能エネルギーについての固定価格買取制度導入後も停滞していた地熱発電が再び注目されている。 2021年4月には、小泉環境相が地熱発電開発の期間短縮を表明し、2021年6月には、2030年度に現在の2倍を超える148万キロワットへと地熱発電を拡大する目標を掲げた。2019年5月に、Jパワー、三菱マテリアル、三菱ガス化学による、日本国内においては23年ぶりとなる1万キロワットを超える大型の山葵沢地熱発電所が稼働を開始し、再生可能エネルギー源の多様化と、国産エネルギーの拡大、出力が24時間安定し、ベースロード電源として利用でき、発電コストが安価な地熱発電に、政府は一段と力を入れている。その優れた特徴は、第1に地球内部に蓄積されたエネルギーであることから、資源枯渇がなく、再生可能なエネルギーであること。第2に燃焼によるエネルギー採取ではないことから、炭酸ガス排出量がライフ・サイクルで見て極めて少ないこと。第3に太陽光発電、風力発電をはじめとした太陽エネルギーに由来する共通の大きな弱点である天候、時間、季節による出力変動がないこと。第4にエネルギー密度が高いことから、小さな面積で大きな出力を得られること。第5に発電技術が確立しており、発電コストも一般火力発電と競争できる段階にあるものの、普及のために、2023年度以降も高値による買い取りが維持されること。等が挙げられる。特に、日本のように火山が多い国では、地熱発電の資源量は多く、米国、インドネシアに次いで、地下の浅い部分で世界第3位の2,347万キロワットという原子力発電所23基分のポテンシャリティーを持っている。 しかし、日本は発電容量52万キロワット、世界第10位の地熱発電設備を持っているのにとどまる。むしろ、地熱発電については、世界に遅れをとっている。その理由は、1地熱資源の8割が国立公園、温泉地帯にあり、制度的、環境的な規制が厳しかったこと、2地熱資源の探鉱リスクが大きいこと、315年程度の開発のリード・タイムが必要なこと、等が挙げられる。だが、2030年度における温室効果ガス排出46%削減の目標実現に向けて、環境省が国立公園における地熱発電の規制緩和を行い、地熱開発におけるJOGMEC (石油天然ガス・金属鉱物資源機構) による、地熱資源探査、出資、債務保証等の支援強化も加わり、地熱発電ビジネスへの優遇策を一段と強化している。日本は、2050年に1,200万キロワットという地熱発電の目標を掲げ、2020年度から、JOGMECが初期調査、開発段階の支援制度を拡充している。 世界においても、日本企業が参画して、地熱資源の豊富な米国、フィリピン、インドネシア、ニュージーランド、ケニア等のアフリカ諸国、メキシコ等の中南米諸国において地熱発電開発の動きが拡大されている。世界においては2021年末時点において1,400万キロワットを超える地熱発電所が稼動し、2050年には世界の地熱発電能力は2億キロワットを超えることが見込まれている。特に、中国企業に市場を席捲された太陽光発電の場合と異なり、地熱発電は、地熱資源の開発、重金属に耐える蒸気タービン、発電機をはじめとしたモノづくりの製造ノウハウについて、日本の東芝、三菱重工業、富士電機の3社が、世界シェアの7割を占めており、日本企業が優位性を持つ分野である。地熱発電における日本と世界の最新動向とカーボンニュートラルへの日本企業のチャンスについて分かりやすく詳説する。
教員、学生および医療従事者はアカデミー割引価格にて受講いただけます。
会場受講 または オンラインセミナー (アーカイブ配信) のいずれかをご選択いただけます。
お申し込みの際、受講方法の欄にて、会場受講またはオンライン受講をご指定ください。
オンラインセミナーの申込み受付の締切日も、会場受講のセミナー開催日までです。ご注意ください。
オンラインセミナーをご選択の場合、以下の流れ・受講内容となります。
※会場で受講の場合、このサービスは付与されませんのでご注意ください。