第1部 連続晶析における核生成・結晶成長メカニズム
(2022年11月7日 10:00〜12:00)
近年、高効率化、環境負荷低減の要求の高まりによって、晶析プロセスの連続化に期待が寄せられている。
本講演では、連続晶析の概要を理解するために、晶析の基本からモデリング手法を中心に解説を行う。最初に、連続化によって得られる一般的なメリットと、設計において考慮すべきポイントを紹介する。次に、晶析プロセスへの展開を見据え、連続式反応器のモデリング手法について反応工学的な見地から説明する。晶析の基本やメカニズム、さらに、結晶成長や物質移動の速度過程について触れた後、連続晶析装置、とくに完全混合槽型連続晶析装置 (MSMPR) を用いた際の晶析プロセスの解析手順について解説を行う。最後に、ポピュレーションバランスモデルについて詳しく説明をした後、連続式管型晶析装置へ適用した事例として振動流バッフル反応器の結果を紹介する。
- 連続化の背景
- 連続式反応器モデル
- 晶析の基本
- 核化現象と結晶成長
- ΔL法則
- 核化速度と結晶成長速度
- 連続式晶析装置
- モーメント変換
- ポピュレーションバランスモデル
- 2次核化を抑制する方法
- 連続式管型晶析装置の事例紹介
第2部 連続フロー晶析で粒子群特性を制御するための操作上の留意点
(2022年11月7日 12:45〜14:45)
反応の後工程に必須となる分離精製では、再沈や再結晶と称して結晶化を用いた高純度化が行われています。この操作が晶析ですが、反応工程などが連続フロー化された場合、分離精製工程も連続化しなければメリットが半減してしまいます。連続フロー化は生産性向上の一手法として捉えられていますが、現在は違った観点から注目されています。それは、安定製造です。回分操作では、溶液状態が経時変化し、操作点が移動するので、それに応じて冷却速度や添加速度などを調整する必要があります。しかし、連続操作であれば操作点は移動せず、同じ条件で結晶粒子群を析出できるので、安定製造が実現可能となります。このメリットこそが、晶析分野で連続化が注目される本質的な理由です。
本セミナーでは、回分と連続フロー晶析の違いを説明しながら、なぜ、連続フローが注目されるのか、どうやって粒子群特性を制御するのかについて、事例とともに分かり易く紹介します。
- 合成系と分離精製系との接点
- 晶析操作で何ができるのか -
- 晶析で遭遇する問題事例
- 有機合成と工業晶析との接点
- 回分晶析から連続フロー製造への転換
- 結晶粒子群を安定製造するためのポイント
- 操作レシピと粒子群特性との因果関係を探る -
- 結晶化の推進力と固液平衡
- 粒径分布を変更したい
- 結晶多形や結晶外形を創り分けたい
- 結晶純度を良くしたい
- 連続フロー型晶析装置の特徴と粒子群特性制御
- 連続フロー晶析で粒子群特性の何が改善できるのか -
- 非 (貧) 溶媒添加晶析の場合
- 反応晶析の場合
- 多成分系結晶製造への展開
- 既存連続装置との組み合わせ
- 連続フロー晶析の活用例 -
- 結晶粒子群の連続フロー製造が注目される特殊要件
- 既存装置との組み合わせ例
- まとめ
第3部 連続晶析の適用とスケールアップでの留意点
(2022年11月7日 15:00〜17:00)
従来の液体化学製品だけでなく、医薬品を始めとする固体の化学品製造においても、バッチ生産から連続生産への転換が図られている。その要因の一つとしてバッチ製造と比較して製造にかかる人手を減らすことによるコストメリットがあげられる。さらには、設備の連続稼働時間の調整によって製造量を容易に変更できるために、需要の変動にも柔軟に対応したオンデマンド型の生産ができることが大きなメリットとなる。医薬品等の固体化学品の連続生産を実装していく上で鍵となるのは連続晶析操作である。連続晶析を適用していく上でスケールアップ面での留意点について展望したい。
- ファインケミカル分野における連続生産
- ファインケミカル分野における分離操作
- バッチ晶析と連続晶析
- 連続晶析装置
- 連続晶析
- MSMPR晶析装置による連続晶析
- MSMPR晶析装置のカスケード運転
- スケールアップの考え方
- 操作条件の影響
- ポピュレーションバランスモデル
- 懸濁密度
- 攪拌強度
- 滞留時間
複数名同時受講割引について
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