(ナノ) カーボン材料の分散分布、界面・パーコレーション制御とその評価・可視化

第1部 【ナノ】カーボンの分散とパーコレーションの考え方について

(2022年11月7日 10:15〜11:45)

　ナノカーボンとポリマーからなる導電性ポリマーコンポジットの開発に当たって、最も重要となるナノカーボンのポリマー中での分散性と導電性発現の関係についてパーコレーション理論をベースに解説します。

1. パーコレーション現象と導電性ポリマーコンポジット
2. 導電性ポリマーコンポジットの導電機構モデル
   1. 統計的パーコレーションモデル
   2. General Effective Media (GEM) モデル
   3. 熱力学的パーコレーションモデル
   4. 動的パーコレーションモデル
3. ナノカーボン粒子間の導電機構
   1. 直接接触モデル
   2. 被膜介在モデル (トンネル伝導モデル)
4. ハイブリッドフィラー系の導電機構
5. ポリマーブレンド系でのナノカーボンの局在化と閾値の最小化
   1. ダブルパーコレーションとYoungの式
   2. 2成分ポリマーブレンド系でのナノカーボンの局在化
• 質疑応答

第2部 分散安定化のための「分散剤」とその使い方について

(2022年11月7日 12:45〜13:45)

　黒さ・導電性・熱伝導性・フィラー充填効果など、カーボン系粒子の機能は多い。その機能を十分に塗料やインク、電極スラリーなどで発揮するには、分散安定化の技術が欠かせない。ここでは、粒子の分散安定化の基礎的な考え方と、主な湿潤分散剤の構造と特徴について、各種の実験事例を交えて解説する。

1. 分散安定化のメカニズムとおさえるべき基本点
   1. 粒子の分散安定化のステップ
   2. 濡れ・吸着と安定化
   3. 脱凝集とコントロール凝集
2. 湿潤分散剤の設計思想と選定のポイント
   1. 主な湿潤分散剤の構成要素と基本構造
   2. 粒子表面の特性と分散剤の吸着基
   3. マトリクスの特徴と分散剤の相溶性鎖
   4. カーボンニュートラル、循環型社会に有効な分散剤の開発
3. カーボン系粒子・CNTの分散
   1. 水系での分散安定化
   2. 非水系・溶剤系での分散安定化
   3. 各種用途での分散安定化の例
• 質疑応答

第3部 カーボンナノチューブ凝集構造の熱伝導異方性の可視化について

(2022年11月7日 14:00〜15:00)

　ナノカーボンをベースとした材料系では、ナノカーボン界面の特性が材料全体の特性に大きな影響を与えうる。 カーボンナノチューブ界面の熱・電気輸送特性について、ミクロスコピックな視点から研究の成果を紹介する。

1. カーボンナノチューブ
   1. 単一カーボンナノチューブの特性
   2. 凝集体カーボンナノチューブの特性
2. カーボンナノチューブ凝集構造の熱伝導異方性
   1. 金ナノ粒子の蒸発を利用した可視化
   2. 錫ナノ粒子の融解および蒸発を利用した可視化
3. カーボンナノチューブ単一界面の電気伝導特性
• 質疑応答

第4部 カーボンフィラーの界面ケミストリに基づいた動的パーコレーション制御

(2022年11月7日 15:15〜16:45)

　CNTなどのナノカーボンフィラーを有機高分子バインダに分散させた導電膜や導電性ペーストにおける動的パーコレーションに対する界面ケミストリの影響について、最近の研究成果について解説する。

1. カーボンフィラー分散材料における動的パーコレーション
   1. 動的パーコレーションモデルの考え方
   2. フィラーネットワークのモデル化と導電機構
   3. フィラー近傍に形成される界面層
   4. 動的パーコレーションのカイネティクスに及ぼす界面ケミストリの影響
2. モデルCNT系導電性ペーストを用いた動的パーコレーション解析
   1. バインダの硬化挙動と電気伝導特性発達のその場測定
   2. 交流インピーダンススペクトルによる界面導電コンタクト発達挙動解析
   3. 界面ケミストリがフィラー間導電コンタクト発達に及ぼす影響
3. CNT系導電性ペーストと金属電極間での界面コンタクト発達
   1. 導電性ペースト/金属電極間の界面電気抵抗率評価
   2. CNT系導電性ペーストと金属電極間での界面コンタクト発達挙動解析
   3. バインダ配合成分の影響
   4. 電極表面の親水化処理の影響
4. 界面ケミストリ制御によるCNT系導電性ペーストの材料設計
5. まとめ
• 質疑応答