高周波回路基板における樹脂/銅の接着性、密着性向上技術

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第1部 低誘電ポリイミド接着剤の物性と伝送損失評価

(2022年10月28日 10:30〜12:00)

 次世代規格である5Gに代表されるように近年の通信技術の発展は著しく、高速伝送のための高周波対応はあらゆるプリント基板で必要となりつつある。プリント基板の材料面における高周波対策とは伝送損失抑制とほぼ同義であり、伝送損失の要因となる銅回路由来の導体損失と、絶縁材料由来の誘電体損失、いずれも低減対策が必要である。それぞれの主な対策としては導体損失の低減が銅箔の低粗度化、誘電体損失の低減が絶縁層の低誘電化となる。ここで当社が開発した溶剤可溶型ポリイミド樹脂は低粗度銅箔への密着性と低誘電率、低誘電正接に優れ、かつ高周波対応素材で犠牲となりがちな高耐熱や各種加工性も兼ね備えるため、高周波フレキシブル基板向け素材に適していると考えられる。  今回、技術の概要と、当材料を使用したフレキシブル基板の伝送損失や加工性評価について紹介する。

  1. 開発背景
    1. プリント基板の技術トレンド (高周波対応)
    2. 伝送損失とその改良方針について
    3. プリント基板材料 (硬化性材料) の主要成分について
  2. ポリマー設計
    1. ポリイミドについて
    2. ポリマー設計方針 (加工性改良)
    3. ポリマー設計方針 (低誘電化)
  3. 新規ポリイミド樹脂「PIAD」
    1. 製品概要
    2. 樹脂物性
  4. 新規ポリイミド樹脂「PIAD」応用例
    1. 一般例
    2. 低誘電カバーレイ、ボンディングシート
    3. 低伝送損失FCCL
    4. 平滑銅箔対応低誘電プライマー

第2部 プラズマ処理によるフッ素樹脂基板の表面改質と接着性向上

(2022年10月28日 13:00〜14:30)

 本講座では、フッ素樹脂の特徴について概説した後に、ウエットプロセスとドライプロセスの先行研究 (学術論文) を交えながら、フッ素樹脂の表面改質 (特に接着性向上) 全般について紹介します。単にプラズマ処理しても接着性向上が困難なフッ素樹脂ですが、プラズマ処理条件を厳選することで接着性向上が可能になります。フッ素樹脂の接着性向上において重要となるプラズマ処理条件について丁寧に解説します。現在フッ素樹脂基板をお使いの方やこれからご使用をご検討の方はもちろんですが、フッ素樹脂以外の基板の接着性向上でお困りの方におかれましてもご参考にして頂ければと思います。

  1. フッ素樹脂
    1. フッ素原子の特徴
    2. フッ素樹脂の構造
    3. フッ素樹脂の特性・用途
    4. フッ素樹脂の表面改質への要求
  2. 先行研究
    1. Na薬剤処理
    2. イオン照射
    3. 紫外線 (UV) 照射
    4. 電子線 (EB) 照射
    5. 放射光 (SR) 照射
    6. プラズマ処理
  3. 研究成果 (研究実績)
    1. 接着剤とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    2. 未加硫ゴムとフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    3. 加硫済ゴムとフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    4. 金属酸化物箔とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    5. 超平滑金属箔とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    6. 金属スパッタ膜とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    7. 金属スパッタリング膜とフッ素樹脂 (PTFE) の直接接着
    8. 金属ペースト膜とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    9. 金属インク膜とフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
    10. ゲルとフッ素樹脂 (PTFE) の強力接着
  4. プラズマ処理条件と接着性
    1. プラズマとは
    2. プラズマ処理中の圧力
    3. プラズマ + 熱 (熱アシストプラズマ処理)
    4. 接着性向上を妨げる空気混入
    5. ガス種が接着性に及ぼす影響 (HeガスとArガスの比較)
    6. プラズマ処理後の表面グラフト重合
  5. 今後の展望
    1. 官能基比率の制御による高周波特性向上
    2. プラズマ処理時間の短縮化
    3. プラズマ処理装置の大型化・大面積化
    4. フッ素樹脂の平滑化
    5. 接着メカニズムの解明

第3部 エキシマ光処理を用いた高周波対応基板のための難接着材密着性向上

(2022年10月28日 14:45〜16:15)

 大容量・高速通信時代を迎え高周波領域の利用が進んでいる。高速伝送に適するプリント配線板では、界面の平滑性を維持したまま極性が少ない低誘電・低誘電正接の絶縁材料と導体間の接合信頼性を確保する必要がある。エキシマ光を利用した表面改質技術は、光化学反応により基材表面に官能基を導入することで、エッチングレスな界面を維持したまま導体層を形成することが可能である。  本講座ではエキシマ光の表面改質処理を用いた密着性向上技術について紹介する。

  1. 高周波・高速伝送に適したプリント配線板
    1. 高周波対応に適した配線板材料
    2. 回路粗度と導体損失
    3. 被着体に対する表面改質技術
    4. 難接着材に対する表面改質・密着力向上技術の動向
  2. エキシマランプを用いた光反応による表面改質方法
    1. エキシマランプについて
    2. エキシマランプの発光原理
    3. エキシマランプの応用用途
    4. エキシマ光 (VUV) を用いた表面改質技術
    5. 低圧水銀ランプUVとエキシマランプVUVの比較
  3. 改質表面の分析手法と密着強度評価方法
    1. 表面分析によるキャラクタリゼーション
    2. 剥離試験による密着性評価方法
    3. 密着界面の評価方法
  4. 代表的な樹脂素材への密着強度改善事例の紹介
    1. ポリイミド (PI) フィルムに対する表面改質と密着性の改善
    2. 液晶ポリマー (LCP) フィルムに対する表面改質と密着性の改善
    3. シクロオレフィンポリマー (COP) フィルムに対する表面改質と密着性の改善

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