第1部 水系Naイオン電池の研究開発動向と展望
(2022年10月26日 10:00〜11:10)
Naイオン電池は、豊富な元素であるNaを利用する事による低コスト化、小ストークス半径であることによる高出力化を見込めるポストLiイオン電池の有力候補であるが、有機電解液を用いるため、安全性、経済性、導電性の課題が根本的に拭えない。
本報告では、水溶液を電解液に用いる事で3大課題を解決する水系Naイオン電池に関して、水系で不利な電圧上限の克服可能性が見込める新奇高濃度電解液を用いた系ならではの特異な現象や、適切なホスト構造を有する活物質材料設計について、同じアルカリ金属元素であるLi、Na、Kにおける系統的な検討を行った例について紹介する。
- 水系ナトリウムイオン電池の利点
- 電極活物質材料設計
- 電位窓
- 元素戦略
- NASICON
- プルシアンブルー
- 金属有機構造体
- 電解液設計
- 速度論的電位窓
- 高濃度電解液
- イオン伝導度
- 電池特性
- 対称電池
- SEI
- 作動下局所pH
- 水系カリウムイオン電池
第2部 有機系材料のナトリウム電池特性
(2022年10月26日 11:20〜12:30)
ポストリチウムイオン電池として、ナトリウムイオン電池は大きな脚光を浴びているが、高性能な電極材料の探索は依然開発途上にある。近年、金属酸化物系材料で有望な材料が見出されつつあるが、さらなる発展が望まれる。
ここでは、これら金属酸化物系材料とは異なる有機系材料 (有機分子、高分子、共有結合性有機構造体、金属有機構造体など) を用いたナトリウムイオン電池について、主に正極特性を中心に紹介し、その将来性について議論する。
- はじめに
- ナトリウムイオン電池
- ナトリウムイオン電池用正極材料開発の現状
- 有機系材料の電池電極への応用
- 有機分子を用いたナトリウム電池特性
- 有機分子を用いたナトリウム電池正極特性
- 有機高分子を用いたナトリウム電池正極特性
- 共有結合性有機構造体を用いたナトリウム電池正極特性
- 金属有機構造体を用いたナトリウム電池特性
- MOFを用いたナトリウム電池正極特性
- MOFナトリウム電池の反応機構解明
- リチウム電池特性との比較
- まとめ
- 有機系ナトリウム電池のまとめ
- 有機系ナトリウム電池の将来展望
第3部 ナトリウムイオン電池用層状酸化物
(2022年10月26日 13:20〜14:30)
エネルギー貯蔵用途や普及型電気自動車用の電源としてナトリウムイオン電池の実用化が期待されている。エネルギー密度としてはリチウムイオン電池と比較して低くなるものの、資源という観点からは魅力的な選択肢であり、また、急速充電が可能であるなどリチウムイオン電池に対する利点も存在する。
本講演ではナトリウムイオン電池用層状酸化物材料の研究の最前線と実用化へと向けた可能性について紹介する。
- ナトリウムイオン電池概要
- ナトリウムイオン電池材料開発の歴史
- マンガン系酸化物の合成
- マンガン系酸化物の分類
- マンガン系材料の電気化学特性
- マンガン系材料の相変化挙動
- マンガン系材料の充放電反応機構
- マンガン系材料の急速充電特性
- チタン系酸化物の合成
- チタン系酸化物の分類
- チタン系材料の電気化学特性
- チタン系材料の相変化挙動
- チタン系材料の充放電反応機構
- チタン系材料の急速充電特性
第4部 電力貯蔵用蓄電池を目指した全固体電池
(2022年10月26日 14:40〜15:50)
カーボンニュートラル社会の実現に向けて再生可能エネルギーが大量に導入されると、電力系統の不安定化が懸念されるため、蓄電池が電力系統安定化で果たす役割は大きい。電力貯蔵用蓄電池で求められる仕様は、電気自動車などのモビリティで求められる高エネルギー密度や高出力密度という仕様とは異なり、高安全性と長寿命である。
これらの仕様の必要性や電力貯蔵用蓄電池の活用が想定される需給調整市場の設計仕様、最近の国内における蓄電池の導入状況について解説する。さらにこれらの仕様を満たすことができる全固体電池の特徴、種類、課題、最近の研究成果について紹介する。
- 蓄電池の役割
- 蓄電池の種類
- 電力市場の設計仕様
- 電力貯蔵用蓄電池の導入状況
- 電力貯蔵用蓄電池に求められる仕様
- 全固体電池の特徴
- 全固体電池の種類
- 全固体電池の課題
- 蓄電池における元素戦略
- 蓄電池の劣化評価
- リチウムイオン電池
- 高分子型全固体電池
- 酸化物型全固体電池
第4部 光造形3Dプリンターを用いたカーボンマイクロラティス構造の作製とナトリウムイオン電池負極への応用
(2022年10月26日 16:00〜17:10)
光造形3Dプリンティング (SLA) により、1mm以下の周期性を持つ炭素材料「カーボンマイクロラティス」を作製した。それをナトリウムイオン電池の厚膜負極とし、セルあたり容量を従来比4倍に増大させた。ラティスの柱幅が細いほど充放電特性は指数関数的に向上した。バインダー無しの全炭素材料であるため、充放電に伴うハードカーボンの構造変化をXRDから観察する土台としても応用することができた。カーボンマイクロラティスを中心として、3Dプリント技術による電池開発の将来性を例示する。
- 3Dプリンティングによる材料開発
- 材料開発に用いる光造形3Dプリンティング
- 炭素材料の3Dプリンティング
- カーボンマイクロラティスのイオン電池負極への応用
- 電池用材料の3Dプリンティング
- 今後の展望
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