近年、高分子材料は金属材料の代替として幅広く利用されており、自動車の構造部品などへの利用も進んでいます.そのため、衝突安全性の観点などから、高分子材料の高ひずみ速度下における応力-ひずみ関係の測定が必要になります.
高変形速度下における材料試験方法であるスプリット・ホプキンソン棒 (Split Hopkinson Bar, SHB) 法は、1949年にKolskyにより高ひずみ速度圧縮試験として提案され、引張、ねじり、曲げなど、様々な荷重様式に応用でき、多数の解説記事や専門書が出版されています.2019年には、SHB法に関するJIS Z 2205:2019「スプリット・ホプキンソン棒法を用いた高変形速度試験方法」が制定され、高変形速度下における材料試験方法としての標準化も進んできています.
本講座では、高分子材料の衝撃応答を理解するために必要となる衝撃工学の基礎の理解を深めた上で、SHB法等を用いた高分子材料の高ひずみ速度下における応力-ひずみ関係の測定原理を説明します.また、高分子材料の圧縮試験方法への適用事例を交えて、SHB法試験におけるデータ処理の流れを解説します.
- 衝撃工学の基礎
- エネルギー法による衝撃応力の理解
- 弾性波動論による衝撃応力の理解
- 高分子材料の衝撃試験方法の概説
- 低・中ひずみ速度試験
- 高ひずみ速度試験
- ひずみ速度依存性の評価法
- 粘弾性試験との対応
- SHB法試験の詳細
- 試験原理
- 圧縮試験方法
- 引張試験方法
- 曲げ試験方法
- 高分子材料のためのSHB法試験
- 高分子材料のSHB法圧縮試験の実例紹介とデータ処理の実演
- 圧縮型SHB法試験機の解説
- 測定系の解説
- Excelを用いたデータ処理の解説
- まとめ
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