第1部 iPS細胞を用いた高い自己複製能と機能性をもつT細胞の作製
(2022年10月11日 10:30〜13:00)
近年CAR-T療法をはじめとする免疫細胞療法が大きな注目を集めている。しかしながら患者の免疫細胞をセルソースとして使う場合、移入免疫細胞の量だけでなく質も患者や病態ごとに大きく異なり、薬効に大きく影響する事が知られている。このため我々はiPS細胞からT細胞を誘導することで機能性T細胞を大量に安定的に供給する戦略が提起してきた。
本講演ではiPSC由来T細胞 (iPSC-T細胞) の特徴、近年の進捗、今後の展開について共有する。
- 何故iPS細胞からT細胞なのか?
- 腫瘍免疫細胞療法の現状
- iPSC-T細胞に期待されている事
- iPSC-T細胞に見られる課題とその克服
- 従来まで見られたiPSC-T細胞の課題
- 分化亢進と細胞疲弊形質
- 補助レセプターCD8αβの発現欠如
- 異所的なNK活性
- 上記課題を解決するためのT細胞分化培養系の改変と品質管理マーカーの同定
- 高効率T細胞拡大培養系の樹立
- iPSC-T細胞の棚卸式免疫細胞療法への応用
- HLAホモドナー由来iPS細胞ストックの使用
- ユニバーサルiPS細胞の使用
- T細胞分化拡大培養系の完全フィーダーフリー化
- iPSC-T細胞の今後の課題と新たな試み
- iPSC-T細胞におけるヘルパーT細胞の欠如
- iPSC-T細胞への異所的因子の導入
第2部 遺伝子改変によるCAR-T細胞の改良開発
- がんの治癒を目指したT細胞機能の強化 -
(2022年10月11日 14:00〜16:00)
キメラ抗原受容体 (CAR) 導入T細胞療法は、難治がんに対する新規治療法として期待されるが、多くの場合、輸注されたCAR-T細胞が徐々に死滅または機能低下を来し、持続的な治療効果が得られていない。CAR-T細胞は体外で培養・増殖させる過程を含むため、細胞自体の様々な加工を行うことが可能で、特定の遺伝子の導入・ノックアウトを自在に行える。
我々は、CAR-T細胞の長期生存能獲得につながる遺伝子改変方法の基礎研究開発に取り組んでおり、本講演ではこれらのデータを中心に、持続的な治療効果を誘導するために必要なT細胞機能について議論したい。
- 養子免疫療法
- 遺伝子改変T細胞療法CAR-T細胞療法
- 腫瘍浸潤T細胞療法
- T細胞の分化・疲弊
- メモリーT細胞
- エフェクターT細胞
- T細胞疲弊
- T細胞老化・終末分化
- T細胞機能改変のための遺伝子工学
- 転写因子
- エピジェネティック因子
- CRISPR/Cas9
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