波長に対する寸法で構造を設計するアンテナは、原理的には、すべての寸法を波長比でスケールダウンあるいはスケールアップすることによって、異なる周波数で同じ特性のアンテナが設計できる。ところがミリ波の電磁波は極端に周波数が高いため、実際に設計・試作しても、実験で所望の特性が得られないことが多い。これは、伝送線路の損失が予想以上に大きかったり、金属パターンやスルーホールなどの製造限界によりアンテナ各部の寸法を大幅に変更せざるを得なかったり、製作誤差や組み付けのばらつきが、波長に対して無視できない大きさになってしまったりすることなどに起因し、実用上の課題が多い。
本セミナーでは、まず、ミリ波ならではの性質を生かして先行して実用化された自動車レーダをはじめ、近年、注目されるようになってきた第5世代移動通信 (5G) の次のBeyond 5G/6Gなどのミリ波・テラヘルツ通信およびそのアンテナ開発動向について紹介する。さらに、ミリ波アンテナの実用上の課題とそれを考慮した設計手法や、その高機能化の一手法として注目されている指向性走査技術について解説する。そして、自動車レーダシステムにアンテナを実装する上で重要な異種伝送線路接続技術、レドーム損失低減技術についても解説する。
- ミリ波・テラヘルツ波技術の動向
- 様々なミリ波・テラヘルツ波応用
- 大容量ミリ波通信、第5世代移動通信 (5G) 、Beyond 5G・6G
- 車載ミリ波レーダ
- 車載センシング技術
- 様々なセンシング方式
- 各種センシング方式の比較とミリ波センシングの特徴
- 自動車レーダの開発動向
- 高利得ミリ波アンテナの設計技術
- 指向性走査方式
- 様々な高利得アンテナ
- テラヘルツアンテナ
- マイクロストリップアンテナの設計例
- 各種アンテナのミリ波応用における課題
- ミリ波・テラヘルツ波システムの実装
- 異種伝送線路接続技術 (アンテナと高周波回路との接続)
- 様々な伝送線路とアンテナ形態
- マイクロストリップ線路導波管変換器
- レドーム損失低減技術 (周波数選択板)
- まとめ
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