国際取引が多方面にグローバル化し、超円高が日常化した今日、英文契約を読みこなすスキルは、もはや国際取引を行う全てのビジネスパーソンの基礎的な知識・能力と見なされるといっても過言ではありません。こうした現実の中で、英文契約を取扱う立場にある担当者、管理者、経営者の方々には、日々、英文契約を読みこなし、自社の国際取引の法的、経営的リスクを判断しなければならないニーズが高まっています。
本講座は、日常的に多忙を極めるそうした立場の方々を対象に、ごく短時間に英文契約の読みこなし方を学ぶ、あるいはそのスキルを向上させるには何をどの様に訓練すればよいか、といった方向性を手っ取り早く知って頂くために準備されました。英文契約と日本の国内契約の法的な違い、英文契約の基礎となっている英米法に関する基礎的な知識、読みこなしが難しいといわれる「一般条項」の解説、欧米流のものの考え方の違いなど、幅広い角度から、国際取引と英文契約実務経験二十数年の講師が、自らの体験を踏まえて、分かりやすく解説します。
第1回 これだけ知れば大丈夫 (基礎速習) 編
(2012年5月18日 13時30分~16時30分)
第1部 英文契約常識の総ざらい
- 英文契約書の構造
(様式化された4つの部分に分解して理解。法律背景についても解説)
- 冒頭部分 (契約の効力発生日、前文、約因文言)
- 実質条項部分 (契約当事者の権利・義務に関する条文)
- 一般条項部分 (契約の運営・解釈・紛争処理に関する条文)
- 末尾文言部分 (調印権限問題)
- 法律英語の特徴 (助動詞、専門用語、長い複雑な条文構造)
- 法律英語の文法-特に助動詞shallの使い方
- 専門用語 (法律用語と一般用語の大きな差、ラテン語)
- 長い複雑な構文 (修飾語、句、節の掛かり方のルール)
- 主な一般条項 (General Provisions) を理解して使おう
(どのような英文国際契約にも使われる十数種類の一般条項の解説)
- 英文契約の一般条項にはどのような役割があるのか
- 汎用性の大きい一般条項 (15種類) を覚えてしまおう
第2部 国際契約交渉の進め方
- Ⅰ. 交渉に入る前に
- 英文国際契約と日本語の国内契約の違い
- 何故英文契約はやたらに長いのか
- 契約書での相手方の縛り方 (契約の相手方に対する信頼感の問題)
- Ⅱ. 契約交渉の手続き例
- レター交換による交渉
- 初期の実質的交渉
- 秘密保持契約の締結・調印
- 合意形成と議事録の作成
- 「レター・オブ・インテント」の締結
- 「レター・オブ・インテント」の機能と法的効力、実例
- 最終的な契約交渉
- 最終契約案をどちら側が作成するか
- 交渉決裂の場合も考えながら交渉する
- 契約に落ちがないかの検証と準拠法・使用言語・紛争解決手段等の規定の挿入
- 締結 (調印権限について)
- 契約締結後の手続 (取引完結段階)
- 契約書の引渡し
- 隔地者間の契約書の調印と効力発生時点の問題