汎用性熱可塑性エラストマーコンパウンドであるオレフィン系熱可塑性エラストマーコンパウンド、特にTPV (動的架橋熱可塑性エラストマーコンパウンド) は、スチレン系熱可塑性エラストマーやエンプラ系熱可塑性エラストマー (ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン系) と比較して柔軟性、耐候性、耐油性、耐熱性、加工性、価格などのバランスに極めて優れ、自動車を始めとするあらゆる分野での加硫ゴム代替用途で幅広く用いられています。
また、他のエラストマーと異なりゴム成分と液状オイル成分と流動成分 (樹脂成分) との「多成分の混合物」 (ポリマーアロイ) でありTPVはそれを化学反応させて架橋させ耐熱性、耐油性を向上させます。架橋タイプは、フェノール樹脂架橋 (完全架橋型) 、有機過酸化物架橋 (部分架橋型) のニ種類があります。
本講座では、はじめに熱可塑性エラストマー全般を見渡した後、動的架橋ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーコンパウンド (TPV) について、完全架橋型TPV (f-TPV,フェノール樹脂架橋) を中心に下記4点を解説します。
- 加硫ゴム代替材料としてTPVを選ぶ他のエラストマーと比較した場合のメリット
- 加硫ゴム代替用途の歴史
- 基本特許からみた典型配合例
- 部分架橋型TPVと完全架橋型TPVの物性と用途展開例
- ゴムとは?
- 熱可塑性エラストマーとは?
- 熱可塑性エラストマーの種類とそれぞれの特徴概論
- 汎用エラストマーとその特徴
- オレフィン系熱可塑性エラストマーTPOとその特徴〜TPVに着目して〜
- TPOとTPSの比較
- エンジニアリングプラスチック系エラストマーとその特徴
- 各エラストマーの欠点
- f-TPVの利点
- f-TPVの一般物性と用途例
- f-TPV用途採用の歴史
- TPO,TPSの成分
- 基本特許からみたf-TPVの配合
- 部分架橋型TPVと完全架橋型TPVの物性と用途展開
- 完全架橋型TPVの物性
- 部分架橋型TPVの物性
- TPVの用途
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