査察指摘事例とトラブル事例から考える製造記録/SOP作成方法・レビューの見直し

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第1部 PMDA査察官から見た製造記録・試験記録/SOPの不備事項と不備の予防策と対処法

(10:30〜13:00)

 2015年K社による血漿分画製剤の不正製造及びY社による原薬の無届輸入品混入事件が発覚したことに伴い、PMDA等は無通告査察 (立入調査) の範囲を拡大して進めているところである。しかしながら次々に不正製造等を行っている企業が見つかり、調剤薬局ではジェネリック医薬品の不足状態が続くという事態まで発展している。  本講座は元PMDA査察官の立場から、製造記録・試験記録/SOPの不備に関する予防策と対処法を説明する。製造所のQA (ここではサイトQAと呼ぶ) の役割として大きな位置を占める製造指図記録書と試験検査記録書及びSOP等の記録類をレビューするにあたっての留意点に言及する。また製造販売申請書と製造記録書・試験記録の齟齬/GMP文書 (SOP等) の管理について、2021年8月1日に施行された改定GMP省令に絡ませて説明する。

  1. 本講座の狙い
    1. 製造所でのサイトQAの役割は?
    2. 製造所で齟齬を見つけたらどうするか?
    3. PMDA査察官は何を主眼として見るか?
  2. GMP等の規制要件とガイドライン
  3. 無通告査察で見えてきたことは?不正製造の実態は?
    1. K社の事例 (血漿分画製剤/2015年)
    2. Y社の事例 (原薬/2017年) 等々
  4. PMDA等当局の実地調査 (査察) における指摘事項例は?
  5. 製造指図記録書と試験検査記録書の発行と承認は?
    1. 承認体系と責任
  6. 製造販売承認申請書の製造方法と試験方法の入手方法は?
  7. サイトQAの役割と重要性は?
    1. 製造販売承認申請書と製造指図記録書・試験検査記録書の齟齬は?
    2. 製造SOPと試験検査SOPは製造販売承認申請書に則って作成されているか?
    3. SOPに従って製造行為及び試験検査行為を行っているか?
    4. OOSとOOTの判断基準と行動様式は?
    5. 製造販売業者との連絡方法は?
  8. 製造記録書と試験検査記録書のレビューの留意点
    1. チェックリストの作成は?
    2. 逸脱管理記録と変更管理記録に漏れはないか?
    3. その他の記録 (教育訓練・自己点検等) に整合性はあるか?
  9. 齟齬が自己点検 (内部監査) 又はPMDA等当局の実地調査で見つかった場合の対処法は?
  10. GMP文書の管理方法は決まっているか?
    1. GMP文書の配布方法は
    2. SOPの定期的見直しは?
    3. 旧文書の扱いは?
  11. 改定GMP省令 (2021年8月1日施行)
    1. 背景と趣旨は
    2. 骨子は?
    3. 品質保証の更なる重要事項は?
  12. PMDAへのGMP調査に関する相談及び医薬品品質管理部の動向

第2部 過去のトラブル事例を過去問として対応/SOPへの反映により新たなミスを防ぐ

(14:00〜16:30)

 自社の失敗事例だけでなく、他社の失敗事例を過去問として同じ失敗を繰り返さないことです。そのための仕組み構築とSOP反映です。  実際の医薬品製造所で起きた事例を取り上げ、その事例ではどこに問題があり、どうしていれば防ぐことができたか、今後同じ過ちを防ぐためにはどうしたら良いかを考えます。過去のミスを十分反省し次に生かしておくと、ミスの70%を防ぐことができると言われています。医薬品製造のミスは共通していることが多いからです。自社の失敗への対策が不十分だとまた繰り返します。他社で起きたミスはいつ自社に起きるかわかりません。ミスが多い製造所はGMPの小事に囚われ、GMP3原則の大事を忘れられていると言っても過言ではない。  本セミナーでは、多くの事例から学ぶことを主眼としています。そしてミスを起さないSOP、製造指図記録にどう反映するかについて紹介します。また、ラインで全数保証をするためのポイントについても紹介します。

  1. 医薬品製造所の品質トラブル
    1. ドリンク剤の使用期限と製造番号の捺印が逆になっている
    2. 原薬の中に,ガラス異物が何個か見つかった
    3. 注射剤のバイアル瓶の個装箱への包装時に他社製品のフリップキャップが見つかった
    4. 品質再評価の試験方法が,1/12個アウトにでている
      • 新規試験方法設定
      • 販売移管
      • 海外からの導入
    5. ロット番号の間違い QCもミス
    6. 計数管理の不備
      • アンプルとラベル
      • 包装委託先
    7. アンプルのラベル捺印無し
    8. ラボエラーによる製品回収 (抗生物質)
    9. ボトル容器の汚れ
    10. 個装箱の捺印なし
    11. 中国査察時に製造販売承認書に記載されていない原薬製造所で異物除去 (製造販売承認書からの逸脱)
    12. 原薬の異物逸脱により、返品時の品質トラブル (中国)
    13. 海外製剤製造所の異物によるPV失敗によりGMP適合性調査不適合 (イタリア)
    14. アンプルの異種品コンタミ (フランス)
    15. OOSトラブルによる欠品 (イギリス)
    16. 福井県の小林化工の第三者委員会報告から学ぶこと
    17. 富山県の日医工の第三者委員会報告から学ぶこと (OOSについて)
    18. 兵庫県の共和薬品工業の第三者委員会報告から学ぶこと
  2. SOP違反 (犯罪行為)
    1. カラム理論段数
    2. 不溶性異物試験
    3. 生データの認識不足
    4. SOPの意図的な違反
  3. 作業者がミスを起こしにくいSOP/製造指図とは?
    1. 重要な項目はダブルチェック
    2. ダブルチェックする項目を明確にしサインをすることにより責任を明確にする。
    3. 記録は必ずダブルチェックする。
    4. 記録はその都度記入する。
    5. 計量などの重要な項目はプリントアウトさせる。かつ記録のすぐ近くに貼付欄を設ける。
    6. 重要な項目はレ点ではなく記入させる。
    7. 表示物の計数管理は引き算をしない。
    8. ラベルなどは廃棄するものを台紙に貼付して後日問題があった時にトレースできるようにする。
    9. 現場の作業者に計算させるようなSOPにしない。
    10. 現場の計測器の単位とSOPの単位は一致させる。
    11. 現場の作業指示書/作業カードも文書管理を行う。
    12. 作業カード等に写真など視覚情報を掲載する。
  4. GMP基準への上乗せ基準 (製造で品質を造り込む)
    1. ラインで薬機法違反を造らない (フェール・セーフの考え)
    2. 表示資材はラインでバーコード管理 (異種品の全数保証)
    3. 金属は粉と成形で二度検査
    4. 直接薬剤に接する資材の異物対策
    5. 師過可能な原料は師過/ろ過する
    6. 外観のビデオ検査
    7. 異種品のラインでの検出
    8. テストサンプルの管理
  5. 製造でのミス防止まとめ
    1. 気になったことも含め報告すること (3H,5H)
    2. 検証すること (CRM訓練)
    3. SOPを守ること
    4. SOPを理解すること
    5. 記録すること
  6. 人が創る品質/Quality Culture
    1. 一人の若い女性の感性が工場を救う
    2. 感性が表示ミス製品回収を防ぐ
    3. 映画「大爆破」から 一人ひとりが品質保証担う
    4. 感性を高めるために (感性の3要素)
    5. Quality Culture

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