医療機器が高度化、複雑化するにつれて、ヒューマンエラーの発生が多発しています。ユーザビリティエンジニアリングは医療機器設計において欠かすことができない要素の一つであり、 かつ当局の関心が非常に高い分野でもあります。2016年2月にFDAは「Applying Human Factors and Usability Engineering to Medical Devices」と呼ばれるガイダンスを発行しました。また、2007年にユーザビリティエンジニアリングの国際規格として IEC 62366:2007 が発行され、IEC 62366-1:2015 として改正されています。
本邦においても、IEC 62366-1:2015がJIS T 62366-1:2019「医療機器-第1部:ユーザビリティエンジニアリングの医療機器への適用」として発行されました。さらに欧州では、MDD から MDRへの改正において、ユーザビリティに関する要求事項が強化されています。
医療機器設計開発においてはFDAガイダンスやIEC62366-1:2015に従い、人間工学的な要素を取り入れ、適切にユーザーインターフェースに注目したリスクマネジメントを実施する必要があります。これまではリスクマネジメントに包含されてきましたが、今後はユーザビリティエンジニアリング (ヒューマンファクターエンジニアリング) は、独立して実施しなければなりません。では、いったいリスクマネジメントとユーザビリティエンジニアリングでは何が異なるのでしょうか。IEC62366-1:2015が要求するユーザビリティエンジニアリングファイルとはどういうものなのでしょうか。またユーザビリティエンジニアリング実施のためのSOPや様式はどういうものを揃えれば良いのでしょうか。
本セミナーでは、米国FDAの要求事項およびIEC62366-1:2015の要求事項を分かり易く解説いたします。またユーザビリティエンジニアリング実施のためのSOPの作成方法についても解説いたします。
- はじめに
- ユーザビリティとは何か
- なぜユーザビリティエンジニアリングが必要か?
- 医療機器のユーザビリティエンジニアリングにとって大切なこと
- どのような環境でどのような人が操作するかも重要
- 医療機器におけるユーザビリティエンジニアリング
- 医用電気機器 (ME機器) とは メカ・エレキ・ソフトウェアの設計開発
- 機器要求事項とリスク分析の関係
- ユーザインタフェース設計に注目する
- 医療機器のインターフェースと使用エラー
- ユーザビリティエンジニアリングはインターフェースに注目する
- 使用法の種類の関係
- 誤使用と使用エラー
- 誤使用 (misuse) 」と「使用エラー (use error) 」
- 使用エラーとは
- 「使用エラー」は「ヒューマンエラー」とは限らない
- 合理的に予見可能な誤使用とは
- ISO14971とユーザビリティの関わり
- ISO 14971とIEC 62366では、適用範囲が異なる
- 誤使用と使用エラーについて
- 合理的に予見可能な誤使用の検討
- リスクマネジメントプロセス (ISO14971) との関わり
- リスクマネジメントとユーザビリティエンジニアリングの関係
- ユーザビリティエンジニアリングに関連するリスクマネジメント
- 用語の定義
- IEC 62366-1:2015 用語の定義 (抜粋)
- FDA 「Applying Human Factors and Usability Engineering to Optimize Medical Device Design」
- IEC 62366概要
- ユーザビリティエンジニアリングに関する国際規格
- IEC 62366-1:2015 目次
- ユーザビリティエンジニアリングプロセス
- ユーザビリティエンジニアリングプロセスのステップ
- 使用関連仕様 (要求事項書) の作成
- 安全に関連するユーザインターフェース特性の特定
- .既知の、または予見可能なハザードおよび危険状態の特定
- ハザード関連仕様シナリオ (リスクの推定) の選択
- 総括的評価のための使用シナリオの選択 (リスク判定)
- ユーザーインターフェイス仕様の確立 (リスクコントロール)
- 形成的評価の実施 (検証)
- 総括的評価の実施 (バリデーション)
- ユーザビリティエンジニアリング実習
- 使用関連仕様 (要求事項書) の作成 (例)
- 安全に関連するユーザインターフェース特性の特定 (例)
- 既知の、または予見可能なハザードおよび危険状態の特定 (例)
- ハザード関連仕様シナリオ (リスクの推定) の選択 (例)
- 総括的評価のための使用シナリオの選択 (リスク判定) (例)
- ユーザーインターフェイス仕様の確立 (リスクコントロール) (例)