自己修復性高分子の設計、メカニズムと応用可能性

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本セミナーでは、自己修復性材料について取り上げ、「可動性架橋からなる強靭かつ回復性材料」「超分子架橋からなる自己修復性材料」「空気・水・酸・アルカリ等の様々な環境下で自己修復可能なポリマー」などの自己修復性ポリマーの各設計や特徴、応用展開に関して解説いたします。

日時

開催予定

プログラム

第1部. 自己修復性超分子材料及びリサイクル可能な高分子材料の開発動向

(2022年9月13日 10:30〜12:00)

 従来の高分子材料は軽くて丈夫など長所もあるが、資源枯渇や環境汚染といった短所も存在する。特に、近年カーボンニュートラルが話題になり、高分子材料の利用に関してもう一度考える機会である。本講座は、高分子材料の長寿命化を通じて持続可能な社会やカーボンニュートラルへ寄与させるために、自己修復性とリサイクル特性について解説する。  本講座で紹介される技術が広がれば高分子材料を使用しながらも持続可能な社会が達成できると期待される。

  1. 高分子材料
    1. 高分子とは?
    2. 可逆架橋からなる高分子
    3. 可逆性架橋からなる高分子
      • 超分子架橋
      • 動的架橋
    4. 可動性架橋からなる高分子
  2. 自己修復性高分子材料の始まり
    1. マイクロカプセルを用いた自己修復性材料
    2. Diels – Alder反応を用いた自己修復性材料
  3. 超分子架橋からなる自己修復性高分子材料
    1. 水素結合
    2. イオン結合
    3. 配位結合
    4. 環状分子の包接錯体形成
  4. 可動性架橋からなる強靭かつ回復性高分子材料
    1. 主鎖包接型可動性架橋
    2. 側鎖包接型可動性架橋
  5. リサイクル可能な高分子材料
  6. 応用
    1. 炭素以外の元素を主鎖とする自己修復性高分子材料
    2. 自己修復可能な生分解性高分子材料

第2部. シルセスキオキサン微粒子を用いた自己修復有機・無機ハイブリッドの開発

(2022年9月13日 13:00〜14:30)

 シルセスキオキサン微粒子を用いて硬さや弾性率と自己修復機能といった相反する特性を併せ持つ自己修復有機・無機ハイブリッド材料を開発した。本講座では、その基盤技術である多官能性シルセスキオキサン微粒子の合成から自己修復材料へと展開した我々の取り組みを紹介する。

  1. はじめに
  2. シルセスキオキサン微粒子に関する従来の研究成果
    1. 水溶性シルセスキオキサン微粒子の合成
    2. シルセスキオキサン微粒子による屈折率制御
    3. 光を利用したハードコート材料の開発
    4. ナノインプリントへの応用
  3. 配位結合を利用したシルセスキオキサン系自己修復ハイブリッド材料の創出
    1. 材料の機械的強度と自己修復機能の両立を実現する分子設計
    2. イミダゾール含有シルセスキオキサン微粒子の合成
    3. 金属配位結合を利用した自己修復機能の付与
    4. 力学物性と自己修復性の評価
  4. イオン伝導性を有する自己修復ハイブリッドの創製
    1. 配位子/金属イオンの比率 および対イオンの構造に由来する諸物性と修復性の相関
    2. 金属 – 配位結合の組み換わりメカニズムの解明
    3. 配位子交換に由来するイオン伝導性の発現
  5. 多様な可逆的結合・相互作用を活用した新規有機・無機ハイブリッドの開発
  6. まとめと今後の展望

第3部. 自己修復性イオンゲルの設計とその自己修復挙動、特性

(2022年9月13日 14:45〜16:15)

 カチオンとアニオンのみから構成され室温で液体となる「イオン液体」は、高いイオン伝導性、不揮発性、不燃性、熱・電気化学的安定性など従来の分子性液体にない優れた性質を示す。  本講演ではイオン液体の特性と応用、更に高分子とイオン液体の複合化により得られるソフトマテリアル「イオンゲル」に関して概説する。特に近年我々が開発した、化学的アプローチおよび物理的アプローチを利用した自己修復性を持った新しいイオンゲル材料に関して、自己修復性メカニズムや力学特性、応用可能性に関して詳細を解説する。

  1. イオン液体とは
    1. イオン液体の性質
    2. イオン液体の分類
    3. イオン液体の応用
  2. イオン液体と高分子の複合化によるソフトマテリアル創製
    1. イオン液体中の高分子
    2. イオンゲル
    3. イオンゲルの高機能化
  3. 自己修復性イオンゲル
    1. 化学的アプローチを利用した自己修復性イオンゲル
    2. 物理的アプローチを利用した自己修復性イオンゲル
    3. 今後の展望
  4. まとめ

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